2013年08月30日

脚本の中の「退屈」を防ぐ方法(ガッチャマン批評6含む)

脚本を書いていると、どうも退屈になるポイントがある。
「ガッチャマン」でいえばオープニングアクションあけだ(ちなみにその後ラストまで退屈だが)。

脚本は、簡単に退屈になる。専門用語では「焦点が合わなくなる」と言う。
どうすればいいかというと、焦点を「絞れば」いい。
「焦点」というのは、物語中、「可及的速やかにしなければいけないこと」のことだ。
「ガッチャマン」を悪例に出すと、
オープニングアクションの焦点「キャタローラーの新宿上陸を阻止」が終わった直後、
焦点が合わなくなった、ということだ。
再び、焦点を絞って、面白さを続けていく(退屈を阻止する)には、どうすればよいだろう。


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posted by おおおかとしひこ at 19:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月29日

じゃあ、どうすればよかったのか?(ガッチャマン批評5)

文句ばっか言っててもしょうがない。
ありうべき理想型について議論しよう。

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2013年08月28日

「物語の面白さ」論の検証(ガッチャマン批評4含む)

物語が面白くなる要素は、
1 ビジュアルの面白さ
2 主題のインパクト
3 リアリティ
4 人物の面白さ
5 ストーリーの面白さ
6 テーマの普遍性
である、としてみた。ガッチャマンで検証してみよう。続きを読む
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2013年08月27日

脚本は、自分を書いてはいけない(ガッチャマン批評3含む)

自分への戒めもこめて最近よく言うのだが、
脚本は、自分を書くな、という話。

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2013年08月26日

実写ガッチャマン批評2

このブログでは、脚本論を長々と書いている。
主張のひとつに、「物語とは動きである」というものがある。
ガッチャマンは、これに沿えば、動いていない脚本だった。
それを検証してみよう。

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2013年08月24日

実写ガッチャマン感想、批評

感想: 0点。
ヒーローのことも正義のことも悪のこともSFのことも、
映画のことも人間のことも知らない人たちがつくった、二時間のうんこ。
スタッフががんばっているのは分かるが、設計図がだめなので効果的でなく、
全体の予算配分と力点も悪い。

企画(ガッチャマンを実写化しようとした仕掛け人。
各方面の人集め、金集め、こんな内容で、という物語の概要を考えた人)、
脚本(細かい設定とストーリーを考え、陳腐な台詞を書いた人)、
監督(最終的な内容責任者)は、いますぐ斬首して、
吉田竜夫とアニメガッチャマンに夢中になって正義の心を持った者たちに詫びよ。

以下、まじめに批評:

映画の最も原始的で、一番の醍醐味は、
主人公の感情を共有する楽しさだ。
主人公の喜びや悲しみを我が事のように感じ、
ハッピーエンドに拳をつきあげて喜ぶ楽しみ。

リアルな映画だけがもつ、感情移入という楽しみである。

恋愛映画なら、主人公の恋のときめきを味わい、苦しさも味わい、
幸せなエンディングにうっとりする。
冒険ものなら、主人公の命の危険にハラハラし、
脱出の困難さを一緒に味わい、うまくやってのけるラストに快哉を叫ぶ。
ヒーローものなら、悪を憎む主人公の気持ちと一体になり、
命の危険を味わいながらも、正義を遂行する主人公にしびれ、
悪は栄えないラストに胸がすく思いを味わい、リアルな世界もそうあってほしいと願う。

実写ガッチャマンは、ヒーローものというジャンルの映画だ。
はたしてそのような感情移入があったか。否である。

ケンに感情移入出来たか。
恋人の死のトラウマに苦しみ、その浄化を得るケンの物語に、
ケンと同じように苦しみ、ケンと同じように南部博士に嫌気が差し、
ケンと同じようにナオミとの決着にカタルシスを得たか。
否である。
実につまらない主役であった。

正義はなされたか。
否である。
悪を憎んだか。
否である。

つまりは、この映画は、ヒーローものというジャンルでも失格であり、
映画という感情移入の娯楽としても失格である。

(ちなみに、僕の書いた版ガッチャマンは、3/29の記事で公開済み。
比較して論じられたい。ここに貼っときます:ガッチャマンプロット.pdf

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posted by おおおかとしひこ at 15:18| Comment(4) | TrackBack(0) | 実写版「ガッチャマン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月20日

実写ガッチャマン、いよいよ公開ですなあ。

この辺境ブログに、ガッチャマンのキーワード検索でたどり着く方もいらっしゃいます。
本編見たら、きちんと批評するつもりです。
予告やYahooレビュー見る限り、珍品の匂いが止まりませんが。

僕なりにきちんとつくった実写版ガッチャマンが見たい方は、
実写版「ガッチャマン」カテゴリを下から順に探索してみてください。
ストーリー(プロット)、デザイン画、ビデオコンテなどが見れます。

ヒーローものは、難しいんです。
悪とは何か、現代の(最新の)正義とは何かを、
納得出来るレベルで描くことが最低限必要。
しかも、映画とは人間を描くこと。
主人公ケンが、アニメでなく実在の人間として、
彼の人生に関わる大事件として物語が描けてるかが、
批評の中心になると思います。
再三脚本論では言っている、PとQの関係です。

一応、今回の日活版と、プロとして勝負してるつもりです。
評価は皆さんが、してください。
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2013年08月19日

小説のススメ4: 長編小説を書こう

脚本中級者(何本か映画脚本を書いたことがある)以上におすすめの話。
そのシナリオを、長編小説にしてみよう、というススメ。

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2013年08月16日

小説のススメ3

小説の地の文は、シナリオの表現より強力だ。
「物語の面白さって、何?4」で、PとQの話をしたと思うが、
地の文は、Qの描写が得意なのだ。

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posted by おおおかとしひこ at 20:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月15日

焼肉3日、米は半日、スイーツ結局一時間

閑話休題。
考えたり書く仕事を長くやってると、「脳に糖分が足りない」感覚が分るようになる。
そんな状態でスイーツを摂取すると、「ああ今脳に糖分が補給されて広がっている」
という感覚が如実にわかる。胃に日本酒が入って来る感覚に近い、と言えばわかるかなあ。
将棋の名人が対局途中シュークリームを食べていて、ああわかるなあと思う。

しかしスイーツは、一時間ぐらいしかもたない。
米は半日持つ。一番いいのは焼肉だ。数日は頭のコンディションがいい。
僕はなにか本気で書くとき、しょっちゅう焼肉を食べる。
黒澤がステーキ派だったのは有名だ。

体は食べたもので出来ている、頭の中もだ。
あと、考え尽くした次の日とか、耳くそすごい出るよね?
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小説のススメ2

脚本のトレーニングには、作劇をするべきだ。
作劇をするには、脚本より小説を書いてみるとよい。

理由その2。小説は、シナリオより自在性が高い。

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2013年08月14日

小説のススメ

昔書いた脚本のノベライズ経験を通して、色々発見した。
脚本の初心者には、ちいさい小説を書くことを、僕は強くすすめることにした。
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物語の面白さって、何?4: Pではじまるのだが、結局Qを描いている

うまい物語というのは、
「Pではじまるのだが、結局Qを描いている」という表現が出来るのではないかと思う。

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物語の面白さって、何?3 物語をほめる言葉

予告と違いますが、面白さの話、つづけます。

以前にあげた1-4と、56の差は、女の化粧と中身にたとえてもよいだろう。
我々は、化粧や服や外見や小物やアレンジをほめる言葉を沢山もっているが、
中身をほめる言葉を、それ以上に持っていないのではないだろうか。

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posted by おおおかとしひこ at 15:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月13日

物語の面白さって、何?2

前項では、静止画的な面白さについて述べた。
写真やポスターでも面白さの表現できるものだ。
いわば、絵画や写真や彫刻の面白さである。
「アイドルと暮らす」という例が、ちっとも面白い物語にならなかったことを思い出そう。

物語とは、動くことだ。あとふたつは、「動く」ことでしか表現できないものだ。


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2013年08月09日

物語の面白さって、何?

あなたが物語に素人な、投資家だとしよう。
ある映画の脚本やプロットを見て、億単位の金を出し、黒字で回収しなければ首が飛ぶ。
投資する映画が面白い面白くないを、見極める自信はない。年に一本ぐらいは見る程度。
面白さなんて主観じゃないか。でもなぜヒットするものと失敗するものがあるのかが分らない。

製作担当者は、主演の人気、主題歌のバンドの人気、原作の人気、テレビ局のバックアップ
をあげて説得に来ている。脚本を読んだが、これが映画としてヒットするのかは皆目分からない。
そのとき、指針となる要素はなんだろう。続きを読む
posted by おおおかとしひこ at 20:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月08日

「物語の動きの図式化」補足

書き手にとって、「図式化」が誤解を生むかと思い、補足。
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2013年08月07日

物語とは、動きである。6: 動きとプロットの重ね合わせ

物語とは、動きだ。
頭の中に構築された設定が、次々に変化していく。この図式化を試みた。
一方、人物の動詞の表を書いていた。プロット表と呼ぶことにした。
このふたつを重ね合わせると、何が浮かび上がるだろうか。

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2013年08月06日

物語とは、動きである。5: 動きの図式化例3

ついでに、「超憧れのアイドルと暮らす」をこのフォーマットで図式化してみた。
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物語とは、動きである。4: 動きの図式化例2

「風魔の小次郎」を、このテンプレで図式化してみよう。

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2013年08月05日

物語とは、動きである。3: 動きの図式化例1

物語という「動き」を、図式化するという試み。

桃太郎、浦島太郎というトイプロブレムで、まずは記号化してみよう。


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物語とは、動きである。2: にも関わらず、記憶は写真的である。

「物語=動き」の続き。

我々人間の脳の仕組みだろう、というのが僕の仮説だが:
「人間は、動きを記憶できない。記憶の構造が、静止画とその組み合わせでしかない」
というものだ。
ダンスの振り付けは、ポーズで記憶する。(動きは、それのつなぎとして理解する)
楽しい思い出や辛い思い出は、場面の記憶。(どうしてそうなったかは、再構築できるときもある)

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2013年08月04日

物語とは、動きである。1

予告通り、物語という動きについて。

仮に、「超憧れのアイドルと、ずっと暮らす」という生活を
書くとしよう。
妄想をいくら爆発させてもいい。本一冊ぶん書いてもよい。
あらん限りの最高を、書きつづったとしよう。
残念ながら、それはストーリーではない。

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posted by おおおかとしひこ at 02:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする