15年くらい前、知る人ぞ知るオッサンだった。
コント系のCMでは、感度の高いディレクターは必ず仕事をしたがった。
僕も一度だけ、ポテロングのCMで仕事をしたことがある。
衣装合わせの現場にジャージで来て、頭ボッサボサだったのが、
「そのへんのオッサンやんけ!」というビジュアルで最高だった。
しかし芝居は最高で、台本を読む頭の回転に舌を巻いた記憶がある。
だから、「アンフェア」で大抜擢されたのは、
僕はすごく嬉しかった。
俺このオッサンずっと前から知ってたぜ、
みんなが知らなかっただけなんだ、って言っていた。
去年脳梗塞で倒れていたそうだ。
回復していたら、もう一度仕事ができただろうか。
常にとぼけた存在感なのに、
とても濃い存在感。
親戚のオッサンにいそうなのに、
仕事をさせると超優秀。
「ビジネスコマンドーYAMAZAKI」(人生でベスト1漫画の一本)の実写化を、
志賀廣太郎なら出来たかもしれない。
唯一無二の存在感を、僕は忘れない。
穴を埋められる人はいないんだと、どんな人を失っても思う。