異物論の続き。
異物の種類と、動機の種類で、物語はジャンル分けされる。
・怪物の出現と退治なら、モンスターもの。
・オカルトな事件とその解決なら、スリラー。
・ファンタジー的な事件とその解決なら、ファンタジー
(両者の差はテイストの差に過ぎない)。
・殺人と犯人逮捕なら、刑事もの。
・トリック(殺人)とその謎解きなら、ミステリーもの。
・私の日常に現れた気になるアイツ(ゴールはその人との恋愛成就)なら、恋愛もの。
・宝物をめぐる冒険なら、アドベンチャーもの。
・人生に起こるシリアスな出来事とその解決なら、人間ドラマ。
・病気とその治療なら、難病もの。
・ド派手なアクションで解決しなければならない事件なら、アクションもの。
・旅による解決なら、ロードムービー。
・脱出による解決なら、脱出もの。
・悪を倒すなら、ヒーローもの(他のジャンルの中に溶け込んでいることが多い)。
シリアスかコメディかは、異物とABのスタンスの差に過ぎない。
本人たちが至って真面目なのに、コメディってこともある。
(そして優秀なコメディは大抵そうだ)
時代劇、SF、西部劇、中世もの、戦争もの、現代劇、昭和もの、法廷もの、
医療もの、刑事もの、密室もの、人情もの、学園もの、動物ものなど、
「描く世界」でのジャンル分けは、脚本家にとって意味がない。
「この話がどのような話か」に答えていないからだ。
さて、異物とその解決が、ペアになっている所に注意されたい。
当たり前だが、異物による事件は、物語の最後で解決する。
(解決しない物語、エヴァやマルホランドドライブなどもあるが、
それは主流ではない。異端というアイデンティティーを誇る中二病だ。
もしくは、完結させられなかっただけである)
お話とは、異物と解決のことであり、その組み合わせパターンがジャンルなのだ。
パターンだから、あるパターンで始まったものは、パターン通りに終わらないと気持ち悪い。
パターン通りに終わらないなら、終わらないなりの納得が必要だ。
(GANTZの連載版最終回の違和感は、パターン通りに終わらなかったこと。
異物、即ちクロノは電車に引かれて死んだのか、ガンツ球とあの部屋、
その謎が解けてはじめてパターン通り。ええっと、という我々の疑問が、
作者がパターンを壊した快感より強い)
王道の組み合わせや、奇策の組み合わせ、ジャンルを跨いだ組み合わせ、
色々な新規性ある組み合わせが、新しい物語を生む。
王道が飽きられてきたら奇策、奇策に飽きたら王道と、
ストーリーテラー達は工夫を凝らす。
(近年の発明、ソリッドシチュエーションは、
脱出もの、スリラー、ミステリーの組み合わせだ)
異物と解決を決めること。それがどのジャンルかを確定する。
自分はまだないジャンルを書く、といきがってる奴は、
まずパターンの王道で傑作を書くべきだ。
それがいかに難しいか、パターン崩しは逃げだと分かるだろう。
異物、解決が決まれば、その間には、過程がある。
異物、過程、解決とは、三幕構造のことだ。で、次回につづく。
2013年07月20日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック