「風魔の小次郎」を、このテンプレで図式化してみよう。
前半15分のAパート:風魔一話Aの図式化.pdf
後半15分のBパート:風魔一話Bの図式化.pdf
Aパート。
@危険な(足を滑らせ谷に落ちそうなアクションで提示)山奥。
蘭子、部下が忍びを探しに来た、というセットアップ。
Aそこへ少女と木刀の男が。男は尋常でない身体能力(しかもギャグ)。
「風」を感じた蘭子は、追う(次の舞台へ)。
B男はすさまじい蜂退治を。忍びでなければ不可能な技だ。
ここで少女(子桃)が「お待ちしておりました」と。風魔の里とは、ここだった。
C山奥という舞台が、「風魔の里」へとどんでん。
子桃のセリフから、あの男こそが探していた風魔の小次郎だと分る。(どんでん)
設定されたことが「実は…」と分る瞬間は面白い。どんでんである。
逆に、どんでんのためには、「違う設定をする」ことからはじめればよい。
D白凰学院のセットアップ。スポーツ部のエースが「謎」の交通事故(夜叉紋の男の仕業)に会い、
学院は衰退の一途である。それを憂う先代総長の孫娘、姫子と執事。
この状況の打開こそが、この物語全体の目的である(センタークエスチョン)。
この衰退は、誰にも止められなかったのだ。小次郎という異物が来るまでは。
E誠士館のチンピラが姫子を拉致しようと。新たな誠士館という高校が登場し、世界が広がる。
(物語の常道で、謎の悪行はこの組織によるもの、と予測できる。この推定こみで、世界が広がる)
Fそこへ小次郎登場。小次郎にとっては、姫子という異物との出会いである。
その強調の為、「メルヘンだなあ〜」なんてオリジナリティがある場面にしてあるのだ。
チンピラとのバトルの中で、夜叉紋がちらりと。ここで、誠士館と交通事故がつながる。
交通事故ではなく、誠士館の妨害行為だったのだ(謎、伏線の解消)。
これにより、誠士館と白凰学院(+風魔)という、対立構造があきらかになる。(設定が動く)
G木の上の男(飛鳥武蔵)に小次郎はタンカを切り、次回のケンカへ引っ張る。
H小次郎、姫子、蘭子の人物関係、力学をコント風に決めてゆく。
(ここの人間関係の描写は、一話でも評価の高い所だ)
新たな舞台の設定で、物語が動く。サッカー部試合への変装、潜入ミッションだ。
これが別の学校との試合だったら意味がない。これまでの動きと関連した、誠士館との試合だから、
話は面白くなってくる。
Iが、それは予想外の女子部(男子サッカーという予想からのどんでん)。
女装、というギャグをかます。ハードルがさらにあがった。
J舞台を誠士館にうつし、誠士館サイドのセットアップ。これで双方の事情がわかるようになる。
彼らは、伝説の風魔一族を恐れている。
Bパート
@白凰学院と誠士館の、代理戦争としてのサッカー試合である。
(図のような関係が我々の頭の中にあるだろう。)
小次郎の言葉により、誠士館に夜叉一族が混じっていることが明らかに。誠士館も忍びを使うのだ。
これによって、物語の構造が動く。
誠士館+夜叉一族 vs 白凰学院+風魔一族という大枠の図式の完成である。
(以降、最終話までこの構造は不変である。これが物語全体のメインコンフリクトである)
A小次郎は活躍するが、目立ち過ぎて降板。石つぶてでフォローするが相手方にも使い手が。
きりがないので直接奴らのところへ。クライマックスへの導入である。
B今週の大立ち回り、壬生 vs 小次郎。夜叉と風魔の緒戦である。
壬生の言葉で、夜叉と風魔に500年来の因縁があることがわかる。
誠士館と白凰、夜叉と風魔、表裏で敵対する構造への動きである。
C試合も死合いも勝利。
D武蔵は、夜叉八将軍を召集し、援軍を増強。小次郎はそれを目撃し、大きな闘いへの予感。
言葉やアクションによって、次々に頭の中の図式が変わってゆく(動いてゆく)のが、
物語ではないだろうか。
第一話なので、初登場(設定)という動きが多かったが、最初の設定を小さなどんでんで
展開させていく工夫で、単なる設定ではなくしている。また人物の魅力(人物への興味)も
これを引っ張る原動力だ。小次郎があれほど魅力的で、蘭子との漫才があれほど面白くなければ、
ただの設定の羅列だっただろう。こんな人物達が、この物語という渦中に放り込まれるから、
面白いのだ。
「この好きな人が、この先どうなるのか、どうするのか」が、物語を見続ける理由である。
必ず、そこには予測と期待がある。
今回のヒキだと、夜叉八将軍の襲来という予測、「風魔一族」への期待だ。
小次郎と姫子のラブストーリーという期待もあるだろう。
物語は、常に予測させ、期待させなければならない。
そして、それを上手に裏切り、予測することを面白く思わせなければならない。
予測とは、「動く」先のことである。
これと先日の「プロット表」とを、重ね合わせてみよう。次回につづく。
2013年08月06日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック