脚本中級者(何本か映画脚本を書いたことがある)以上におすすめの話。
そのシナリオを、長編小説にしてみよう、というススメ。
長編小説の定義はいろいろあれど、原稿用紙300枚、12万字が目安らしい。
映画脚本は110枚4万4000字だから、これから比べれば途方もない量に思える。
が、これまで小説のススメで書いてきたように、シナリオより書くのは「楽」だ。
さらにいいことは、「断腸の思いでカットしたエピソードを復活させられる」
というのがボーナスポイント。
(実際カットしたことで、構造的にシンプルになった、という効用はある筈なので、
これを戻すことは、物語にとってある種の危険を伴う。それを、小説的な筆の力、
即ち重層的に重ね合わせてゆくことで、物語を複眼的にするのである)
いろいろしんどいが、やってみて見えたことがある。
それは、「映画とは所詮短篇である」という見え方だ。
映画脚本を至高と考えているうちは、映画尺に「比べて」短いものを短篇と考える。
短篇とは、一般に、
キレのよい結末や、シンプルで深い人間関係、コンセプチュアルな面白さが長編より必要だ。
長編はより重厚で、人生に肉薄するリアリティのようなものが必要だと考えがちである。
ところが一度長編小説を書いてしまうと、映画が短篇に見えてくる。
映画にも、キレのよい結末や、シンプルで深い人間関係、コンセプチュアルな面白さが必要だ、
と分って来るのである。
この感覚は、リライトや、最初から新作を書く際に生きるだろう。
映画は、冒険また冒険の大長編ではない。
ひと夜にみる夢、一本の短い物語、と考えると、
全てをコンパクトに、象徴的な構図にしておくべきということが分って来るだろう。
ちなみに、小説版の第一稿は250枚ぐらいになりました。
ここから推敲してどうなるかはまだ分らないけど、
マラソンをするのに100キロ走をしたようなもの。
42キロのレースの組み立ての、認識が変わってきた。
2013年08月19日
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