2013年09月04日

退屈の反対。

脚本で時折訪れる、「退屈」という問題。
実際、どこで退屈するか、の発見が実は難しい。読み手が観客と同じ目線を持たないとダメだ。
おすすめは、しばらく寝かせて、一気読みする方法である。
必ず、何度か退屈ポイントがやってくる。
それは、焦点と焦点の間にあることがほとんどだ。
「書き手としてテンションが落ちた所」がまず第一チェックポイント。
「説明おおすぎ」が第二チェックポイント。
「説明不足」が第三チェックポイント。

リカバー法その1。「退屈」の逆の感情とは何か、書き出してみる。
映画を見ている時における、観客の「退屈と真逆の感情」は、どれくらいあるか、書き出してみよ。
(僕と勝負だ。続きを読む、以降に書き出してみる)

ざっと、100以上はリストアップ出来ないとプロとはいえない。
観客の感情の細やかさは、人間の感情の細やかさでもあるからだ。

楽しい わくわく ハッピー 嬉しい 恐怖 悲しい びっくり 衝撃の事実 まさかの展開
傷つく 爆笑 ニヤリ笑い くすくす笑い ブラックユーモア 不条理な笑い シュール
毒舌 メタ批判 皮肉 パロディ 低体温ギャグ 期待 しんみり 悔しい 深い
幸せ 不幸 こわい ハラハラ ちょっとおどかさないでよ 痛い キター! 辛い
しびれる カッケー 渋い 美しい シャレた物言い オシャレ 頭イイ! ステキ うっとり キレイ
偶然の不思議 待ちに待ったこの瞬間 目を逸らすほど悲惨 ちょっと落ち着きたい
状況を整理 復讐 許せない 陰湿 緊張 喪失感 充実感 不協和音 裏切られた 嫉妬
嫌な奴 ぶちのめせ! ヘン 上手い まずい 危ない 落ちる! 追われる 死ぬ! 食われる!
追え! 湿っぽい ほっこり まったり クサイ 王道 理不尽に怒り 納得いかない 正義感
泣ける ニクイ 熱い きっつい スカッとする はげしい 汚ねえ ぐちゃぐちゃ 残虐
悪の魅力 この世界が全て壊れてしまえ 死ねばいいのに ぶっ殺せ ざまあみろ 冷たい あったかい
心を奪われる こいつ最高 こいつ最悪 後悔 微妙 恥ずかしい ぞくっとする
もう嫌だどこまで酷いのか 腑に落ちた ぴりぴりしている いたたまれない 号泣 じんときた
間違いだった 失敗… やられた! しまった! なるほど! そういうことか ショック
やった! だしぬいた 寒い 冷たいやつ うぜえ うるさい 雰囲気がいい
めまい 吐きそう すっきり いない いた どこにいる? つかまえなきゃ! くらくらする
やっべえどうしよう モニョる ひゃっほう! はげしい! 何それおかしい 収束した
何て言っていいか分らない グロ エロ ちょっと勃起 やれる? オフビート クール
いよいよ そこだ! ドヤ クライマックス! 決着の時が来た どうする? どうなる? どう言う?
よかったあー ホッとした 大逆転 どんでん返し もどかしい なんて最悪のタイミング
心はればれ さわやかな気分 終わった… AかBか 体が踊りだす デカイ 速い 器小さい
ちっきしょう やっちまった 誰コイツ? 何コレ? まさか… この瞬間が永遠に続けばいいのに
パズルを解くように鮮やかな 軽妙洒脱 大人のユーモア 人を信じる カタルシス 余韻

…などである。
退屈の反対とは、こういうことだ。
この中からどれかひとつでいい。そんなシーンを書けば良い。
たとえば、楽しいシーンにすればよい。たとえば渋いシーンにすればよい。
あるいは、今ある退屈なシーンを、そんな感情で満たすように書きなおせばよい。
強弱はあるだろうから、強いべきか弱いべきかをコントロールするのは判断しなければならない。
あるいは、前後の感情を書きだして、間にどれを入れたら適切かで考えてもよいだろう。

これは、非常に単純な例だ。
ひとつのシーンをひとつの感情で満たせばよいからだ。

物語と言うのは、そんな単純なものではない。
必ず、相反する複雑な感情があるものだ。
つまり、上の感情のふたつが交錯するシーンにすればよい。
たとえば、うっとりと悲惨とか。

あるいは、二つ以上の感情に推移するシーンにする手もある。
熱い→爆笑などだ。

感情は、同じものだけを刺激していると、飽きる。
笑いのあとには泣きのシーンなど、なるべく七色の感情を描くとよい。
あるもののあとに真逆を当ててコントラストをつくるのは基本だろう。
クールな映画はずっとクールではなく、あったかいシーンやシャレたシーンもある。
コメディはずっと爆笑ではなく、泣きや悪の場面などもある。

どれが適切かは、それこそセンスの問題だが、
退屈を書きなおす、という目的意識があれば、冷徹に分析できると思う。


ガッチャマン?どの感情を刺激しようとした脚本だったか、そもそも分らないし。
(それがすごく良く表現出来てると思ってる節すら、作者にはあるようだが)
posted by おおおかとしひこ at 15:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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