大きな構成で、そんなには悩まない。
大雑把な構成ぐらいは、まだ書いていないなら、誰だって書ける。
問題は、書いている途中だ。
「ここで何を書くべきか」ということは、大きな構成には書いていない。
よく全体を見失う。見失って、何を書くのがいいのか悩んでしまう。
一幕のカタリスト明け、二幕の前半部、ボトムポイントから逆転へのリバーサルポイントに多い。
全体を前半と後半に分けたとき、それぞれの役割は、どう考えておくべきだろうか。
僕の説だが、
「前半とは、風呂敷を広げること」
「後半とは、風呂敷をたたむこと」
だと思う。
三幕構成でいうと、ミッドポイントまでが前半、それよりあとが後半だ。
一幕は、設定部である。
世界を設定し、主人公を設定し、基本的な世界の問題を異物との出会いで表現する。
センタークエスチョンが明らかになり、冒険への出発を描くのが第一ターニングポイントだ。
二幕は、その展開部である。第二ターニングポイント=最後の決戦前夜に至るまでを描く。
これを、前半と後半に分けて考えよう。
三幕は、全ての決着がつくパートだ。
三幕構成における、
前半とは、一幕と二幕前半であり、
後半とは、二幕後半と三幕のことだ。
前半は、風呂敷を広げることだ。
一幕での設定は、あくまで基本設定と考えよう。
映画全体の全ての設定をする場所ではない。
二幕前半は、「追加設定をしてよいところ」と考えよう。
第一ターニングポイントで、冒険の旅に出発したからといって、
冒険の世界そのものを全て、一幕の設定の範囲内でしなければならない訳ではない。
冒険の世界のルールや、そこにいる新しい人物は、新たに追加してよいのだ。
(よく出来た脚本は、今後ストーリーを新たに引っ張る新人物を出し、
Bストーリーを同時進行させることが多い)
それを、世界の風呂敷を広げること、と考えよう。
この映画とはどのような世界観か、どういうルールの世界なのかを、描いてよい部分だ。
勿論、センタークエスチョンへの第一の障害、第二の障害などのクリアを描きながらだ。
後半では、この風呂敷をたたむ。
逆にいえば、それ以上の追加設定を後半部ではしてはならない。
設定しなければいけないこと、重要な伏線は、前半部でやっておく、
ということなのだ。
後半部は、怒涛の展開にする。新たに大きな「聞いてないこと」を追加してはならない。
広げた風呂敷をたたんでゆき、重要な小目標をクリアしてゆき、
その末に「この一点さえクリアすれば全ての風呂敷をたためる」ことを予感させて
第二ターニングポイントとし、
三幕でその最終決戦と決着、映画全体の結論を描けばよい。
全ての伏線は前半部にある。
前半部は、世界の風呂敷が広がってゆくようにつくる。
前半部には、真ん中に第一ターニングポイントがあり、ラストにミッドポイントがある。
基本世界を設定し、主人公を設定し、最初の問題、つまり異物との出会いを描き、
事態はいろいろあって、焦点とターニングポイントの一連の末、
冒険の旅への出発を決める(一幕)。
冒険すべき世界で出会う人物や世界のルールを追加し、
その世界での典型的な冒険(第一の障害)をクリアする。次から次へ問題が起こり、
それ自体が世界の風呂敷の果てを設定することになる。
サブプロットがセンタークエスチョンの裏の問題となり、
ミッドポイントでかりそめの勝利または敗北が起こり、
次へつなげる(二幕前半部)。
後半戦は、それまで広げた世界を、ひとつに集約させてゆく。
後半部は真ん中に第二ターニングポイントがあり、
ラスト直前に最も描きたい「解決の瞬間」があり、ラストには一枚絵でテーマを集約させるラストシーンがある。
様々に広げて来た世界の中で、さらなるしなければならないことへ向けて主人公は動く。
大きなヤマがあるが、全て解決しきらない。
何かしら問題が残り、その解決こそが最終決戦へつながる。
たいてい、一番敗北したところ(ボトムポイント)があり、逆転してゆく。
広げた全ての問題は、あとひとつ解決すればよい、と集約される(第二ターニングポイント)。
センタークエスチョンを再びここで確認する。
あとは、クライマックスだ。一番大事な闘いをし、最も美しい解決の瞬間を見る。
前半は、一点から世界を広げる。後半は、それを一点にたたんでゆく。
これを意識すると、各パートで、何を書くべきか、書くべきでないのはどれか、
どれを切るべきか、入れかえ可能か、これは前半後半どちらでやっておくべきことか、
後半を描くために前半で最小限必要なセットは何か、
などが判断出来るようになってくる。
ミッドポイントが話の折り返し点、というのはその通りで、
その意味は、広げることと集約することという、方向性が180度変わる、ということに他ならない。
僕は、三幕構成を、高校三年間にたとえることがある。
一幕 :高一の春、夏、秋 (どういう三年間かわからないまま、世界の広がりをとにかく楽しむ)
二幕前半:高一の冬、高二の春、夏(大体分って来て、色々冒険する)
二幕後半:高二の秋、冬、高三の春(色々なイベントで、終わりを意識し、ラストへ向けて準備する)
三幕 :高三の夏、秋、冬 (ラストスパートをする)
高校三年間の前半後半を思い出してみよう。
だいたい高校生活がどういうものか分かったぞ、という経験が、高二の夏までだ。
それ以降は、新しい要素はなく、高校生活を楽しみ、まとめに入った筈だ。
風呂敷を広げるとたたむとは、そういう感じだ。
2013年09月10日
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