脚本を見直していて、実践編1に誤りを発見したので訂正する。
第一ターニングポイントは、
「綾子が父の東京観光に乗っかり、自分がいないと祐一が困ると知らしめようと決意」
するところだ。
ケンカの原因を伏せたまま、普段の世界とは違う世界へゆくことを決める場面である。
結局、
一幕:3分
二幕:3分
三幕:3分
という理想的尺割であった。
短編は二幕が短くなり、長編は長くなる、
という傾向を書いたが、短編としては過不足ないバランスだ。
第一ターニングポイントは、
主人公の行動ポイントだ。
一幕で描かれた日常世界から飛び出し、別の世界への冒険を宣言する。
家出するばかりではなく、店をさぼる、という日常を外れた冒険である。
わずか3分の一幕で、主人公綾子への感情移入は出来ていない。
しかしケンカの原因を謎として引っ張ることで、
陥ったシチュエーションへの興味の持続は行われている。
第一ターニングポイントで、私がいないと困るって思わせてやる、
というセリフから、その謎の一端が見えて興味を持続させている。
第一ターニングポイントでは、センタークエスチョンの提示が行われる。
ケンカの原因を明らかにし、仲直りすることだ。
ミッションというより、これが終われば物語は終わる、という方向のようなものである。
同じく第二ターニングポイントでも、センタークエスチョンの再提示がある。
祐一が見せたいものがある、と綾子を呼び出すところだ。
二人の直接的な対峙を予感させ、仲直りかどうかの緊張が高まる。
そしてそれは仲直りするだろう、という予感が、直前の綾子の告白から予測される。
愛ゆえのケンカだからだ。
だがだからと言って解決した訳ではない。祐一の主張が明らかになっていない。
ストーリーとはサスペンドである。解決したように見えて解決しきってない、
という不安定さが、物語はまだ解決していないと思わせ、
最後まで話の行く末を見守らせる力となる。
最終的に、一番困難な障害(祐一の主張を直接会って明らかにすること)
を越えることが、物語が終わるために必要になる。
クライマックスである。
「見せたいものがある」という謎が、まず最初の興味として焦点を誘導する。
地味に上手い。
この脚本の欠点は、父の設定と割れせんべいの設定、第一ターニングポイントと、
実家のシーンが長いことである。
スカイツリーのニュースをピボット(流れが変わるきっかけ)にして
シーンを二つに割っているが、
今思えば、ここに座りっぱなしでない、二人の導線を加えるべきだったかと思う。
これは、この物語の図式化でも明らかになる。
次回は図式化したものについて、動きの構造を深く研究してみよう。
2013年10月10日
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