2013年10月18日

主人公は、第二ターニングポイントで大詰めを迎える

異物に出会い、その除去や日常の回復を動機とした主人公は、
行動の結果、いくつかのターニングポイントを経て
どうやら大変なことが進行していることが分かってくる。
最初の動機を満足させるには、当初思われていた行動より、
もっと大規模なことをやらなくてはならなくなる。
世界の風呂敷が、徐々に大きくなる。コンフリクトが横たわっている。
ACT 1の最後、第一ターニングポイントで
言い出しっぺとなった主人公は、冒険の旅を開始する。
言い出しっぺの内容には、明でも暗にでも、
センタークエスチョン(これがイエスとなれば物語は終了を予感させる)と、
何故それをしたいのか(しなければならないのか)の動機が示される。

ACT 2はその冒険の内容だ。
60分の冒険ののち、
あとひとつだけ山を越えれば物語は終わる、という場面がやって来る。
これを第二ターニングポイントという。

第二ターニングポイントは、大詰め、と理解しておくといい。

これまでの冒険や伏線が、あとひとつのピースを埋めれば完成する予感。
しかしそれには最大の危険と試練が待っている。
その最後の一山を越えれば、この旅は終わるはずだ。
ここで、明でも暗にでも、再びセンタークエスチョンが提示される。
○○は、○○出来るのか?というタイプの問いだ。

言い出しっぺになった主人公が、
冒険の最初から追い求めていた焦点である。
冒険の旅に出てから、色々な事件や障害やコンフリクトや、
変節点を経てきたが、あらためてここで、元々の冒険の目的にたち戻る。
○○は、○○出来るのか?に。
勿論、そのために頑張ってきた。
やるしかないのだ。どんなに危険が待っていても、
ここで退いては全てが水の泡になる。
あの一山を、全力で越えるのだ。

その最後の一山を、クライマックスという。
最も緊張が高まり、最も描きたい解決の瞬間が最後に待っているACT 3である。

第二ターニングポイントは、その一山を前にする場面だ。
実際に目の前にしてもいいし、意識に上るでもよい。
スターウォーズではデススターという最後の戦場の登場であり、
ロッキーでは試合前夜、エイドリアンに本音を語る場面だ。
風魔の小次郎では姫子がさらわれ最終決戦を挑まれる場面だ。
(ここで風林火山が遂に完成し、死んだ者達が祝福、花道を整える。
竜魔が彼を風魔と認め、最終決戦に必要な全ての要素が整う)
割れたせんべいでは、喧嘩に至った思いを知られた夫に、
「見せたいものがある」と言われて、家に戻り直接会うことになる場面である。

クライマックスで何を争い、どんな緊張があるか、
明でも暗にでも、分からなくてはならない。
スターウォーズでは、帝国軍との決戦だ。
デススターを破壊出来ればいっときの勝利、失敗すれば巨大殺人兵器が完成。
狭い通気孔に爆弾を落とせば破壊出来る。成功率は低い、しかしやるしかない。
ロッキーでは、世界戦だ。
勝てばチャンピオンだが、とても勝てる相手ではない。勝てないだろう。
だから最後まで立ってやるんだ。そうすれば今までのみじめな俺じゃないことを証明出来る。
風魔の小次郎では、残る夜叉一族との最終決戦だ。
主君であり愛する姫子を取り戻し、これまでの戦いに終止符をうつ。
(壬生と陽炎が、読めない不安要素として危険を含む)
割れたせんべいでは、喧嘩した祐一との直接対決だ。
謝るのか、彼の意図はなにか、それが直接会えば明らかになる。

あとは直接やるしかない、危険を含みながら。
この緊張感、ハラハラこそサスペンドだ。
しかも、これを乗り越えれば当初からの目的をクリア出来そうな、
最大のサスペンドポイントだ。

第一ターニングポイントで、主人公は言い出しっぺとなり、
第二ターニングポイントで、大詰めを迎える。

三幕構成は、一幕二幕三幕にわけるのではなく、
この二点を上手強く描くことがポイントだ。
三幕構成は、
異物との出会い、第一ターニングポイント、
第二ターニングポイント、解決の瞬間、
このよっつを決めることなのである。

プロットの段階では、本筋や脇筋を構成しながらも、
このよっつをきちんと頭に入れておくべきだ。
構成を練る段階では、これらを柔軟に変更したり練ったりしてみよう。
その間に来るべきイベントや展開や、必要な人物も変わりうる。

執筆段階では、これらを面白く興味深くハラハラしながら書こう。
映画なのだから、動きが大きいと面白い。
静的なものから、ダイナミックになっても面白い。
名台詞があってもよいし、台詞が一切ないのもオツである。

リライト段階では、これらが妥当か、ここが臍にちゃんとなっているか、
これらの間の時間配分が適当であるか、がまずチェックポイントになる。
きちんと出来ていて面白く、映画的であるならば、
それ以外の場所が手術の必要な場面である。
それらを書き直すときに、構成まで遡って、
これらのポイントを変更すべき再構成のほうがよりよくなるなら、
この段階からやり直すのである。

ストーリーは起承転結で考えたり、ストーリーラインで考えたり、
メインとサブで考えたり、謎と答えで考えたり、
よっつのポイントの三幕構成で考えたりするとよい。
posted by おおおかとしひこ at 11:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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