物語の後半は、風呂敷を畳むこと、と書いた。
畳みやすい広げ方、というのがある。
パターンといってもいい。
その1 四天王テクニック:
名称は分かりやすいので俺命名である。
序盤に、
この世界を支配する四天王がいる。
それらを倒せば話は終わり、
と設定するタイプだ。
数や言い方は、その作品によるし、複数の四天王テクニックを使うパターンもある。
二巨頭、三つ巴、三兄弟、四天王という大きな構図はよくある。
他にも、
南斗六星拳、南斗五車星、修羅の三羅将(北斗の拳)、
悪魔七将軍、六人の王位継承者(キン肉マン)、
夜叉八将軍、十聖剣(風魔の小次郎)、黄金十二宮(聖闘士星矢)、
凶羅大四驚殺、大威信八連制覇(魁!男塾)、
七つのボールを集める(ドラゴンボール)、
七武海、四つの海(ワンピース)、
などの少年マンガを想像すればよい。
トーナメント方式の第何回戦、
地区予選→県予選→インターハイ、
アマ試合→プロテスト→国内試合→国際試合、
などもその変形である。
これは、「物語の描く世界を、その枠内におさめる」
という宣言に他ならない。
大抵、最初の関門の段階では、その後の障害については未知である。
それが次々に明らかになっていくことで、物語の進行している感じを出す。
山登りの○合目、という表示と、論理的に同じである。
(十合目で終了、と分かっているから)
少年マンガのそれは比較的分かりやすいが、
これは映画にも応用できる。
病気の進行(治療の進行)、
かつての仲良しグループが次々に殺されて行く、
○○の能力を持つ仲間を○人集める必要がある、
この三つのどれかに○○が眠っている、
この7人の中に真犯人がいる、
などはよくあるパターンだ。
ひとつひとつ潰してゆき、最後のひとつがクライマックスになる、
という縦筋を分かりやすく認識させてくれるだろう。
その2 締め切りテクニック:
時間的な枷として知られるものを含む。
○○までに○○せよ、さもなくば…などのことだ。
その1が空間を規定するとすれば、その2は時間的な規定となる。
締め切りの強制的設定は、人の行動を、映画内で最も促しやすい。
さもなくば、が明示されていなくとも、
文化祭で彼女に告白する、
○時の列車に乗ろう、
金曜日の会議に提出するもの、
48時間以内に血清を打たねば、
などの場合や、
20歳になるまで待っていた、
子供の頃の約束を、果たす時が来た、
いつか○○してね、
大人になったら忘れてしまうよ、
○○まではこの部署にいてもらう、
などの約束(誓い、契約)も、
人を縛ったり動機の元になるものである。
これら二つのテクニックは、
映画内で扱う「世界」が、空間的時間的な、有限の広さであることを示唆する。
これに向かって進めば、終わりが見えてくるという仕掛けだ。
いわば、広げた風呂敷に、空間的時間的目盛りをつけているのである。
あとは目盛りに沿って、面白おかしく伏線を集約してゆくお話を考えればよい。
書き手が道に迷いやすい中盤を、こうやって乗り切ることも可能だ。
2013年11月05日
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