とかくACT 2は乗り越えがたい。
どこかで退屈という魔が襲ってくる。
それをのりこえるテクニックをふたつほど、人物に関するもので。
その1 中盤の鍵になる人物の登場
主人公達でもなく、コンフリクトの相手でもない、
第三の立場の者を出そう。敵か味方か分からないぐらいがいい。
最初は敵で味方になったり、最初は味方になるが後に裏切ったり、
完全に信用出来なかったりで緊張を保てると面白い。
彼または彼女には、ストーリー内のあることに関して、
大抵主人公以上に明確でぶれない動機があり、
それが彼または彼女の原動力となる。
中盤は、その人物と主人公(達)のいざこざや協力や離反などで、
物語の推進力とすればよい。
大抵癖のある人物で、一筋縄で行かないところが、中盤を起伏あるものにする。
彼または彼女の、敵味方を創造しておけば、主人公(達)との出会いで話が動き出す。
ACT 2は、冒険の本編だ。
日常の世界から離れた、スペシャルワールドの生活だ。
その新しい世界の住人の中で、主人公(達)が最初に触れる人物で、
その世界の価値観をある種示し、とんでもないところに来たぞと思わせなければならない。
彼または彼女に、明にでも暗にでも新たな世界を教えられるのだ。
彼または彼女は、新たな世界の象徴であり、先行者であり、先導者でもある。
彼または彼女の行動が、中盤を動かすことになる。
彼または彼女は、主人公(達)と出会うまでは、動機はあってもチャンスがなかった。
主人公との奇妙な出会いが、彼または彼女をある行動に踏み出させる契機となる。
「面白いことになってきたぞ」と、彼または彼女は、高確率で言う筈だ。
彼または彼女の周囲の世界は、コンフリクトの相手とはまた別の原理で動いている。
その原理との出会いが、主人公(達)の意図や目的と科学反応をおこし、
よら動機は深くなってゆく。
彼または彼女の周囲の世界と、コンフリクトの相手との関係を創造しよう。
おのずと、力の拮抗関係があるだろう。
それが主人公(達)の行動で、崩れるチャンスがもたらされる。
この人物は一人でもよいし、複数でもよい。
ひとつの団体でもよいし、複数の団体でもよい。
序盤登場の人物がメイン軸だとすると、
中盤登場の人物が、世界を豊かにする。
役者がそろうのは、中盤前半までである。
(ミッドポイント以降はここまで広げた風呂敷を畳んでいく)
これらを不定形にせず、数えられる形にすると四天王テクニックになる。
その2 トリックスター
クラウン、ピエロ、道化師とも。
邪気のない、安直で直接的で子供っぽい理由で行動する人物。
大抵コメディリリーフを兼ねることで、邪気の無さを担保する。
その役割は、話を読めなくする不定要素。
彼または彼女の存在で、理屈や思惑でガチガチに固まった計画が、
偶然やアクシデントを起こし、とんでもないところに転がっていく。
大抵偶然が重なり、彼または彼女は、何も得ないのに、
話だけが転がっているパターンが多い。
トリックスターの役割を、物語全体で体現する純然たるトリックスターもいるし、
そうでなく、小さな場面限定で結果的にトリックスターの役割になる破目の人物もいる。
作者が理屈で固めた、先が読める話を、先が読めない面白さに変えてくれる。
話が転がりにくいときは、このような人物を加えるか、
誰かを不確定要素にしておくとよい。
シリアス一辺倒で息が詰まるとき、彼または彼女が、息抜きをしてくれるだろう。
大抵愚かだが、それゆえ無邪気である。
それが、考えすぎの脳をほぐす役割をする。
2013年11月05日
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