2013年11月13日

イマイチ筆の乗りが悪いとき

対処法はいくつかあるが、
すべての人物の動機をチェックするとよい。
大抵、曖昧なまま登場させてしまった人物がいる筈だ。

主人公は勿論、重要人物に、
明確な動機を持たせよう。
全員が主体的能動的である必要はない。

○○したい、だけでなく、
○○したくない、現状維持、○○がばれたくない、
などの否定的、受動的なものでもよい。
いずれにせよ、主人公とどう違うのか、を明確にしていくとよい。


筆が乗らないときは、人物がまだ生き生きしていない。
生き生きするまで、魂を入れていくこと。
必要とあらば、以前に書いた方法論を試すとよい。

ほっといても、勝手に動くようになるまで、
世界と人物に、あなたが慣れなければならない。

舞台の簡単な地図を書くのもよい。
移動時間はどれくらいか、頭のなかで移動させてみるのもよい。
実際の距離を歩くのも有効だ。
モデルになる場所があるなら、出てくる時間帯に実際にそこにいるのもよい。
体で、架空の世界を実像にするのだ。
複数の場所がある場合、一周するのもとてもよい。
劇中の食べ物や酒を、実際に食べたり飲んだりするのも有効だ。
描写や発想に、体感が加わる。
その想像が、人物の反応や考え方に影響を与える。


重要人物だけでなく、名前のある端役に至るまで、
きちんと動機をつくるのもよいだろう。
ただそこにいるだけでなく、その人なりのいかたを、そこでしてくれる。

名脇役と呼ばれる役者は、大抵そのような役作りをしてくる。
平凡な台詞や場面であったとしても、
仕事終わりのビールを楽しみにしてる感じで、とか、
明日の息子の運動会に出れるかどうか心配してる感じで、とか、
○○が実は好きなのだが気づかれないような感じで、
などでは、芝居のニュアンスは変わってくる。
平凡な台詞ですらこのように色をつけることが出来るから、
物語を進行させる芝居は、もっと色をつけることが可能だ。

これを、そもそもの脚本でやるのだ。
人物の動機は、観客に分かる必要は必ずしもない。
作者が人物を生き生きと描くための、密やかな方法論だ。
ついでに、その動機が面白く、メインと絡めるなら、
ひとつのサブプロットが生まれ、
物語に勢いがつくかも知れない。


あるいは、
この場面にいない重要人物が、今書いている場面の裏で、
何をしているかを想像することも有効だ。
それが人物の動機を考えることにもなる。

プロットまで戻り、プロットを再構築する必要があるかも知れない。


思いつく限り書いているのは、
今書いているのに筆がいまいち乗らないからなのだが(笑)
一端引いた目で見て、ノリノリには何が足りないかを、観察してみよう。
過去のノリノリの原稿を分析し、その差異を探るのも参考になる。
posted by おおおかとしひこ at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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