2013年11月14日

イマイチ筆の乗りが悪いとき2

前記事で悩んでいたことの、突破口をさっき見つけたので、
その方法論をふたつほど記録しておく。
困ったときのヒントとして。

ひとつは、動機表をつくったら頭からストーリーをトレースすること。
もうひとつは、忘れる為の儀式を決めること。

忘れることが有効なのは、執筆に窮しているときはにわかには信じがたい。
が、風呂やトイレや寝る寸前、散歩中や電車内でアイデアを思いつく経験は、
誰もがある筈だ。
たっぷり寝たあとや、オナニー後の賢者タイム、寝て起きて飯食ったあと、
なども高確率でいいアイデアが湧くことがある。

これには法則があって、
直前までギリギリに考えておいて、
環境を変えるときに、起こりやすい。

だから僕は、思いつきたいときは、ギリギリまで机の上で考えて、
突然電車に乗ったりする。ついでに寝たりする。
そこで何かの脳のモードが変わるらしい。
今回の思いつきも、最寄り駅のひとつ手前で降り、
夜中の散歩をわざとやっている最中に来た。

こうすれば思いつきやすい、という儀式を経験的に決めることは重要だ。
僕の場合、一駅ぶんの散歩、風呂、日比谷線の中、と決めてある。
あと、昼まで寝て、昼飯直後の思考タイム。
これをやって思いつかなければ、難問だと捉える。
プロットに戻ったり、ログラインやコンセプトまで戻ったり、
全人物の設計まで戻ったりする。
儀式は、そこまで戻るべきかどうかの、試しとして行う。

クドカンは、喫茶店で書いて、煮詰まったら次の喫茶店へ行くらしい。
そうやってハシゴして、意図的に環境を変えて脳のモードをシフトしているのだと思う。


もうひとつは、新しく動機表をつくり、頭から語り直すことだ。
最初に何を仕込むべきか、あとの展開がわかっているからこそ、
新しく冒頭部分が変更を受ける。
最初から各人物の動機が、作者に明らかになっているからだ。
何を伏せ、何を明らかにするか、
前に書いたときより明確に出来る。


今回の場合、全人物の動機表をつくった上で、
夜中ひと駅分散歩しながら、頭から考え直し、
冒頭にミスリードを仕込むという閃きを得た。
乗りが悪い原因は、話がストレート過ぎて、
なんだか飽きてきたのだ、ということが、
思いついてはじめて気づいた。
誘導して誘導してひっくり返したら、驚くし、
テーマとも関連する、ということに気づいたのだ。


あと僕がよくやるのは、
内容を知らない後輩をつかまえて、
こんな話があるんだけど、と最初から語ることだ。
後輩はみんなディレクターなので、素人ではないから、
話の本質だけを抽出して聞いてくれる。
しかも話に贅沢だから、生半可な面白さでは食いついてくれない。
その足を止め、巻き込んで行けるか、という試験のようなものだ。

ディレクターの後輩がいなくても、
映画好きや脚本のことが分かる友人などに、
口だけで話を一から説明するのはよい方法だ。
ストーリーテリングの、最も原始的な方法だからだ。
そのときどこで食いつくか、どこで理解が追いつかなくなるか、
どこに疑問を持つか、などをチェックするとよい。
予想外の反応があったところが、あなたの話の弱点である。
posted by おおおかとしひこ at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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