2013年11月25日

構成とは、リズムのことだ

思考実験的に、
「ダンスの振り付け」を考えてみよう。
曲は90秒で、6人のチーム。
6人は高い実力と身体能力をもち、しかも均等であり、
100のムーヴ(動きのワザみたいなの)が出来るとする。

あなたが素人だとしても、次のようなことを考える筈だ。

小さい技から入って、激しい大技で決めよう、とか、
最初にデカイので注目を引いて、一端落ち着いて、ラストに向かってかけ上がるように、とか、
ぶっ通しで激しくやりきる、とかだ。

これは、構成について考えていることである。

もう少し思考を深くすると、
動くだけでなく、ポーズをビシッと決めたまま静止して、静と動を対比したり、
ソロパートをつくったり、
ユニゾンでなく振りを割ったり、
6人の導線をつくってステージングしたり、
様々な構成を想像することが出来るだろう。

さらに思考を深くすると、
使用曲についても考える。
激しいリズムか、スローバラードか。
スローから入ってアップテンポに繋ぐか、など。

これらは全て、リズムを決めていることだ。
ダンスの構成とは、全体のリズムを決めることだ。
(自分の仕事の例だと、ダスキン50周年記念ダンスCMとか)

実は、脚本の構成もこれと同じで、
物語のリズムを決めることなのだ。
構成を建築物の設計図のような、静止したものとして考えると、
この発想は出てこない。
脚本は、リアルタイムで進む時間軸をもつ芸術である。
1ページが1分にあたるフォーマットで書くことが、
脚本が楽譜であることの証拠だ。

ダンスの構成以外にも、居酒屋の料理の注文などもそうだ。
最初は軽いつまみから入って、肉いって、一回様子みて、
第二ラウンドいって、まだいけるなら小さいのちょいちょい頼み、ラストはシメ。
全体の流れは、リズムである。
リアルタイムの流れを、リズムで構成する。


脚本がどんなに理屈でうまく固められていても、
リズムの悪い構成の脚本は、三流である。
ACT 1が30分以上あるのは説明下手だし、
ACT 2のテンポが悪ければ退屈するし、
ラスト30分がちゃんとクライマックスになってないと、イライラする。
いい映画は、的確なところで次に進む。

ダメな映画の評に、テンポが悪い、というのがあるのは何故か。
人は、静止画でなく、リアルタイムの時間で見るからだ。
音楽や料理に近いからだ。
話し上手な人は、テンポが的確だ。
だらだら長引かせずすっと流れるかと思えば、じっくり見たいところはきちんとスピードを落とす。
例えば稲川淳二を思い浮かべてもよい。

緩急をどうつけるか、計画的に考えたことはあるだろうか。
そのリズムで、脚本は仕上がっているか。
構成は、実は二時間のリズムを決めることだ。

安易にシーンの入れ替えをリライトですると、
リズムが狂っていることがある。リライトの際はとくに気にされたい。
posted by おおおかとしひこ at 01:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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