思考実験的に、
「ダンスの振り付け」を考えてみよう。
曲は90秒で、6人のチーム。
6人は高い実力と身体能力をもち、しかも均等であり、
100のムーヴ(動きのワザみたいなの)が出来るとする。
あなたが素人だとしても、次のようなことを考える筈だ。
小さい技から入って、激しい大技で決めよう、とか、
最初にデカイので注目を引いて、一端落ち着いて、ラストに向かってかけ上がるように、とか、
ぶっ通しで激しくやりきる、とかだ。
これは、構成について考えていることである。
もう少し思考を深くすると、
動くだけでなく、ポーズをビシッと決めたまま静止して、静と動を対比したり、
ソロパートをつくったり、
ユニゾンでなく振りを割ったり、
6人の導線をつくってステージングしたり、
様々な構成を想像することが出来るだろう。
さらに思考を深くすると、
使用曲についても考える。
激しいリズムか、スローバラードか。
スローから入ってアップテンポに繋ぐか、など。
これらは全て、リズムを決めていることだ。
ダンスの構成とは、全体のリズムを決めることだ。
(自分の仕事の例だと、ダスキン50周年記念ダンスCMとか)
実は、脚本の構成もこれと同じで、
物語のリズムを決めることなのだ。
構成を建築物の設計図のような、静止したものとして考えると、
この発想は出てこない。
脚本は、リアルタイムで進む時間軸をもつ芸術である。
1ページが1分にあたるフォーマットで書くことが、
脚本が楽譜であることの証拠だ。
ダンスの構成以外にも、居酒屋の料理の注文などもそうだ。
最初は軽いつまみから入って、肉いって、一回様子みて、
第二ラウンドいって、まだいけるなら小さいのちょいちょい頼み、ラストはシメ。
全体の流れは、リズムである。
リアルタイムの流れを、リズムで構成する。
脚本がどんなに理屈でうまく固められていても、
リズムの悪い構成の脚本は、三流である。
ACT 1が30分以上あるのは説明下手だし、
ACT 2のテンポが悪ければ退屈するし、
ラスト30分がちゃんとクライマックスになってないと、イライラする。
いい映画は、的確なところで次に進む。
ダメな映画の評に、テンポが悪い、というのがあるのは何故か。
人は、静止画でなく、リアルタイムの時間で見るからだ。
音楽や料理に近いからだ。
話し上手な人は、テンポが的確だ。
だらだら長引かせずすっと流れるかと思えば、じっくり見たいところはきちんとスピードを落とす。
例えば稲川淳二を思い浮かべてもよい。
緩急をどうつけるか、計画的に考えたことはあるだろうか。
そのリズムで、脚本は仕上がっているか。
構成は、実は二時間のリズムを決めることだ。
安易にシーンの入れ替えをリライトですると、
リズムが狂っていることがある。リライトの際はとくに気にされたい。
2013年11月25日
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