2013年12月01日

ACT 2のお楽しみポイント

この話がどのような話か、という部分が、
ACT 2の前半部30分であり、ブレイク・シュナイダーのいう
「お楽しみポイント」である。
いくつかのディテールが思いついた段階で、
全体を考えるとよい。
オススメのやり方は、以下の通りだ。

例えば、
主人公を待ち受けるのは、過酷な運命であった。
主人公を待ち受けるのは、皮肉な運命であった。
主人公を待ち受けるのは、冒険また冒険の息をもつかせぬ命がけの旅であった。
主人公を待ち受けるのは、一癖も二癖もある策士たちだった。
主人公を待ち受けるのは、切ない片想いの日々であった。
主人公を待ち受けるのは、上へ下へのコメディな日々であった。
主人公を待ち受けるのは、追っ手から逃げ続ける孤独な日々であった。
主人公を待ち受けるのは、コイツが引き起こすとんでもないトラブル続きだった。
主人公を待ち受けるのは、謎また謎の展開であった。
主人公を待ち受けるのは、いわれのない誤解を解くことも出来ない辛い日々であった。
主人公を待ち受けるのは、県大会でもトップクラスの猛者たちだ。
などと考えるとよい。
つまりは、主人公を待ち受ける○○な日々、と書いてみるとよい。

並の人間なら、これに耐えられたり乗り越えられない。
ところが主人公は、これをどうにかしてギリギリ乗り切る。
知恵や工夫や特殊な能力や人徳やモチベーションの高さで。
(それは既にACT 1で前ふられている筈だ)
つまりお楽しみポイントとは、陥った状態の面白さと、
それを乗り越えて行く主人公の魅力を描く部分なのだ。
彼なりの行動や考えやリアクションが、具体的なエピソードとして描かれる。
しかもそれが主人公の魅力を描くようにする。

平たく言えば、このどこかで、主人公に第二段階の感情移入をするのである。


第一段階の感情移入は、主人公の陥った状況に興味を持つことだ。
センタークエスチョンが明らかになり、冒険への言い出しっぺとなる
第一ターニングポイントのあとに来るこの30分は、
陥った状況への彼のリアクション(行動)を見るところだ。
動機と高いモチベーションがあるほど、彼の行動力に比例する。
だからACT 1の問題設定こそが、ここのエンジンになるのである。

ここで主人公が、様々な困難や障害や事件にあったとしても、
それを上手く乗り越える様が、主人公を好きになるポイントである。
彼なりの解決法を工夫しよう。
この物語の主人公の魅力は何だろうと考え、
その魅力が出るような、主人公独特のエピソードになるように工夫しよう。

一方、その障害についても徹底的に面白く考えよう。
それが一見困難であればあるほど、
一見無茶ぶりであるほど、主人公の乗り越え方が焦点になり、
個性的な乗り越え方を促すだろう。
ただし、どうやっても無理そうな課題は、行き詰まる。
弱点や攻略ポイントを上手く考えるべきだ。
また必ずしも快進撃や大成功をしなくともよい。
大成功はクライマックスに取っておいて、
ここは失敗したり五分であったり、ダメだったとしてもキラリと光る展開でもよい。
重要なことは、それで話が転がり、主人公の魅力が描かれ、
結果的に風呂敷が広がっていくことだ。


お楽しみポイントは、主人公の「動き」を決める。
この話を動詞一語で書け、と言われたら、このパートの動詞を代表する動詞が選ばれる筈だ。
闘う、逃げる、仲間を増やす、調べる、助ける、突破する、能力を開花させてゆく、
など何でもよい。動詞になっていれば、間違いないなく成功だ。

ACT 2は、最も書くのが難しいパートだが、
主人公とみんな(書き手、観客)で一緒に楽しむ部分、と考えると、
問題と解決というACT 1と3のペアの呪縛から解き放たれやすくなる。

また、ACT 2の60分は、ミッドポイントを境に、
前半部と後半部に別れる。
次回はこのことについて書こうと思う。
posted by おおおかとしひこ at 03:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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