2013年12月02日

セットアップは初出で

セットアップとは、設定と訳されるが、
もう少し踏み込んで、初期設定と訳したほうがいいと思う。
そう思わせてあとでひっくり返す、などがあり得るからだ。

人物、環境、事件、モノなどの、
セットアップはいつやればいいかというと、
初出である。

知らない人やモノが出てきた瞬間にやるとよい。
登場シーンを印象づけたり、さらりとやるなどの戦略的スタンスも、
その時点のものではなく、物語全体の役目で考えるとよい。

ACT 1を何度も書き直すように、
あらゆる初出部分は、書き直される可能性が高い。
その時の期待感や予想と、あとあとの展開の齟齬などをチェックし、
何をセットアップするべきか、熟慮するべきだ。

最初の執筆では、勢いやあとで考えりゃいいや、
という感じで書きがちで、
途中で、あの要素を入れようと思って、
途中で説明を入れなきゃならない羽目におちいることがある。
そのときは、その初出に戻って、
セットアップすなわち初登場から、
練り直す必要が出てくる。
登場シーンは違うものになる。

人間は第一印象で人やモノを確定しまう傾向がある。
初出シーンが変わってしまうと、別物ぐらいの勢いだ。
モノなら別に構わないが、人物の第一印象が変わると、
作者的には物凄く違和感があるものだ。

あとあとの都合上のセットアップと、
元々の第一印象を、上手く融合しよう。
無理なら、第三の道、全く新しい人物として創作してしまおう。
あとでキャラがぶれたり矛盾を生ずるよりましだ。
第三の道のオススメは、名前を変えることだ。
性別や職業や年齢を変えてもよい。
名前を変えるのは凄い手である。
概念そのものを変えることができる。
いかに我々が言葉でそれを捉えているかを知ることが出来る。


また、セットアップでやっておくべきことと、
あとで設定しても構わないことを分けて考えよう。
セットアップでやるべきことは、
以後を見る上で、知らないと分からないことを、
(絵や芝居や台詞で)説明しておくことだ。
その分量が多いなら、設定に問題があることが多い。
全体の設定量が多い可能性がある。
あと説できるなら、初期設定は、なるべくシンプルなほうがよい。

主人公やメインコンフリクトの初出は、
さほど難しくないかも知れないが、
脇役や相手役、サブプロット関連にも、
どの程度のセットアップの分量が必要かを見極めるのは、
経験と勘がいる。
まあ、足したり引いたり試行錯誤するしかないんだけど。

原則は、セットアップは初出で。
これを覚えておいて、設定をどう理解させて、楽しませるかを考えよう。
あとでどんでん返すつもりでも、初出が面白くないと、
どんでん返しが面白くないことも注意したい。
posted by おおおかとしひこ at 13:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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