2013年12月08日

進化は孤立したときに起こる

以前本で読んだのだが、
人種のるつぼで人類は進化するか、という問いの話。
一見、人種が混ざりあうことは、欠点はなくなり、
いいところだけがかけあわさって、進化が加速するように思われる。
ハーフとか美人だし。
が、生物学者の見解は反対で、
混ざった結果一様になってしまい、尖った要素がなくなって均一化される、
というものだった。均一化は進化を促進しない、
進化は混ざりあうことではなく、孤立したところに起こる、
というのが遺伝学的結論だった。

これは遺伝子の話だったが、わりと色んなことに言えると思う。

例えばアイデアだ。
色んなアイデアを混ぜることは、
一見色んないいところを足した、いいことのように思える。
が、それは、尖ったところのない、均一化された平凡なものになることだ。
足りない所があるが、一点突破するぐらい強力なアイデアは、
決して合議制や中庸からは産まれない。
一人の、深い孤独から生まれる。

例えばこれは物語の人間関係にも言える。
前の記事と同じことだが、
全員が一堂に会したら、情報が共有され、
言いたいことも全部出たら、全部が一枚岩になってしまう。
逆に、秘密や独断専行が、ドラマを面白くする。

少年漫画で、敵と死闘したら、仲間になるのもこの原理だ。
全てを出しあったら、二人の人格は混ざりあってしまい、
もうそれ以上別人格である必要はないのだ。
ライバルが仲間になったあと、またライバルという別人格に移行する展開は、
主人公の知らない所でのライバルの事情が関係する。
ここでも、進化(物語)は、孤立しないと起こらない。

男女の関係でも同じだ。
よく恋の相談でも、長続きさせるには、全部をオープンにせず、
秘密を持つこと、とある。
逆に、隠し事一切なしという夫婦には、一枚岩という完成があり、
これ以上の変化(物語)は、生まれない。
ここでの物語とは離反や浮気のことだから、完成した夫婦に物語は必要ない。


進化は孤立から起こる。
混ざることは平均化、均一化でしかなく、進化の停滞で終わる。
何かの際に思い出すと、応用出来るかも知れない。
posted by おおおかとしひこ at 19:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック