他人にちゃんと注文が出来る人は、自分にもちゃんと注文が出来る。
目的地だけでなく、どんな感じかを伝えるにはどうすればよいか。
具体的な成功例を、複数だすことだ。
それに共通する感じが何かを、ちゃんと言葉にすることである。
例がひとつではいけない。
それが見本になってしまい、そのコピーをつくることになる。
コピーは基本劣化コピーである。
100%を目指したとしても、良くできたコピーはパクりである。
そうではなく、複数の例から、言葉で抽出するとよい。
監督が違うのにカメラマンが同じという時もある。
絵が好みなのか、音楽なのか、人間の距離感なのか、
世間への仕掛け方なのか、○○のようなテーマ性なのか、
具体的なところと、それのどのような特徴がよかったかを、言葉にするとよい。
読解力と表現力があるプロなら、
それならこういう感じがお好みでしょう?
と、きちんとパクりでない新しいものがつくれるものである。
目的地を決める以外に、これはある程度のルートを決めることである。
うまい肉を腹一杯食いたい、という目標に、
出来れば肉だけでなく冷麺でしめたい、と傾向を定めることと同じだ。
冷麺の炭水化物という要素ならビビンバでもいいし、
冷麺の冷たいという要素なら冷たいデザートでしめてもいいし、
冷麺の麺という要素なら温麺でもいいはずだ。
冷麺の何が求める要素なのか、注文する側が分かっていなくてはならない。
言葉に出来なければ、冷麺とかビビンバとか焼おにぎりとか、
と複数例を挙げてくれれば、
炭水化物シメだな、と類推することが出来るというものだ。
イメージに近いジャンルの映画を、
複数挙げてみよう。
これが中々に難しい。
これからつくるものは、何にも似ていないものをつくりたいからだ。
ただ、複数の例をあげて、これらに共通する○○みたいな方向性、
という抽象的な表現なら、共通認識として、注文する側とされる側で持てる。
これを、コンセプトという。
最近の広告は、コンセプトが見えない、またはないものが多い。
映画も然り。
「どのような面白さを目指したか」が見えない。
見えるのは、どこかで聞いたようなものであり
(具体例がひとつしかなくて劣化コピー臭い)、
人気芸能人集めたのでファンの人見てください、という保険構造だ。
人はコンセプトにまず惹かれる。
「現代に恐竜を遺伝子技術で甦らせた、一大テーマパークが出来た。
ところが嵐によって事故が起こり、恐竜たちを閉じ込める電磁波の網が壊れた。
居合わせた観光客数名は、この島から脱出しないと恐竜たちに食われてしまう」
というのが「ジュラシックパーク」のアイデアであり、
これは、「恐ろしいモンスターからの、閉鎖空間からの脱出劇」
というコンセプトに基づいている。
恐竜というアイデア(琥珀の中に閉じ込められた蚊の体内から、恐竜の血のDNAを採取する)、
テーマパークというアイデア、
嵐で制御が効かなくなったというアイデア、
そこにたまたま居合わせた観光客たち、というアイデアは、
これらのコンセプトを実現するための創作だ。
注文する側は、このようにコンセプトを発注する。
クリエイターがアイデアを出し、
それらを渾然一体とする。
自分にでも他人にでも、注文するなら、
このようなことをやってみるとよい。
2013年12月21日
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