2014年01月19日

エントロピーの法則

エントロピーとは乱雑さの物理法則化である。
秩序は保たれず、カオスが支配する、
というのがエントロピーの法則の直感的理解だ。
部屋は、放っておくと散らかる、というイメージで大体合っている。

生命の誕生は、エントロピー法則の逆行だ。
カオスへと向かう宇宙に、秩序が生まれたのだ。
何故生まれたか、科学はまだ答えを出していない。

作品の誕生も、エントロピー法則の逆行である。
放っておけばカオスへと向かう宇宙に、作品が生まれるのは、
生命誕生と同じ奇跡が起こっている。


実はエントロピー的な見方での生命誕生にはカラクリがあって、
「カオスに向かう宇宙」は、大局的には、
生命がいようがいるまいが変わらないのだ。
むしろ、エントロピー法則的には、
生命という秩序が誕生するためには、
それ以上のカオスが生まれればよいだけなのだ。
エントロピー保存則のようなものである。
秩序とカオスは足したら一定、みたいな。
実際は、カオスは常に増大する。
人類という秩序が生まれたからには、
エントロピー法則的には、より大きなカオスが誕生したことを示している。
(直感的に分かるように、これは多くのSFの元ネタである)


作品も同じである。
作品と言う秩序が生まれるには、
それ以上のカオスが同時に生まれるわけだ。
探した資料の断片、大量のメモ、そして汚くなった俺。
(「夏への扉」に、「創造的な仕事は男を山羊の臭いにする」
とあって笑った)
何稿もの書き直し。
それらのカオスが、一本の作品には、必ず必要である。

部屋が散らかりまくって、一角だけ美しい秩序が生まれる。
作品づくりとは、比喩的にそのようなエントロピーのことである。
何故か作品づくりを知らない人は、どうして工房が汚くなるか分からないらしい。
整理整頓を徹底すればいいのに、と常識を振りかざす。
カオスが十分でないと、秩序は生まれないのだ。


カオスを恐れるな。発散せずに収束せよ。
作品という秩序を、膨大なカオスから、自己組織化せよ。

作品の誕生は、生命の誕生に、熱力学的に似ている。



カオスカオス書いてたら、風魔2やりたくなってしまうではないか。もう。
混沌の意味のカオスの初出は、風魔が原点だよね?
posted by おおおかとしひこ at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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