中国拳法に広く伝わる口伝である。
多少使えるようになるまで三年はかかり、
使いこなすには十年の修行が必要だ、ということを言っている。
仕事の世界でも、そこで経験がある、とか、
アシスタント卒業までには三年、
いっぱしになるには十年と言ったりもする。
僕の話にちょいちょい武術関係の話が出るのは、
それが肉体を介する話だからだ。(僕がカンフーオタクだからでもある)
脚本というものは行為であり、
書くというのは、頭でなく体で行うパフォーマンスに近い。
まあ、お話を書けるかな、と思うまで、
三年修行するべきだ。
僕は小学校の頃から漫画をかきはじめ、芝居の脚本を書き、
中学で映画をはじめ、大学で二本自主映画を撮った。
それでも、プロの世界の三年で学ぶことに比べればたいしたことはない。
十年本気でやれば、
僕が話す内容くらいは、人に話せるようになるだろう。
僕の脚本論は、僕が十年かけて考えてきたことでもあるのだ。
十年本気でやるということは、
何本も書くということだ。
実戦で傷つけられ続け、回復し続け、鍛え続けることだ。
一本につき何度もプロットを書き直し、
一本につき何度も脚本そのものを書き直すことだ。
(一番書き直したのは、43稿まである)
それを、何本も仕上げることだ。
僕は十年で7本の劇場用脚本を書き(そのうち一本は映画化された)、
9本のドラマ脚本を書いて映像化し、
あと数本映像化されていない脚本を書いている。
専業ではないから、本数としては少ない方だと思う。
最低でも、それぐらい書いて、ようやくいっぱしの物言いが出来るというものである。
なんの仕事でもいいが、少なくとも日本では、
三年は働かないと仕事の全貌が見渡せない。
凄くいいのだけ当たったり、底辺のだけに当たるのではなく、
バラエティー豊かに業界を見渡せる時間は三年ぐらいだ。
人脈という点でも、能力という点でも、業界のわたり方という点でも。
(逆に三年頑張って芽が出ないなら、才能を疑うべき。
当然だが、一定以下の才能は伸びないし、必要とはされない)
あなたが今仮に物凄い脚本を書いたとして、
即デビューしたとしても、
満足なプロになるには、
三年小成、十年大成の原則は変わらないと思う。
映画一本の脚本家のギャラは100万から300万程度だ。
ドラマは50万や15万もある。
勿論1000万取る人もいる。
(ヒットすれば、二次収入の1.75%バックはデカイ。
100万本レンタルの二次収入を計算してみよ)
三年の間に何本書くか、十年の間に何本書くか、
一生のうち何本書いて、何本映画化され、何本大ヒットするか、
それはあなたと、あなたと出会う人次第である。
2014年01月21日
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