短編の構成は序破急であり、
それらは2:2:1であるべきである、という理論を書いたが、
これは、主人公論にも関係あることが分かった。
後輩のショートフィルムを見た。
中々の出来だ。
が、当初聞いて想像していたほど、
主人公が立たず、サブ人物のほうが目立っていて、
そこが弱点のように思えた。
何故だろう、二人を中心として描いているし、
分量は主役のほうが多いのに、と思い、
これは構成の譜割りと関係があるのでは、
と思って、尺をはかってみた。
2:2:1の序破急で見てみることにした。
5分の尺なので、それぞれは2分、2分、1分となる計算だ。
序破急がそれぞれACT 123に対応しているとすると、
第一ターニングポイント、第二ターニングポイントは、
それぞれ2分、4分あたりに来ることになる。
その目でみたとき、第一ターニングポイントがそれより遅くに来ていた。
2分に何が起きているかをチェックすると、
主人公ではなく、サブ人物のターニングポイントだった。
(主人公の第一ターニングポイントは、その少しあとだった)
つまり、構成(リズム)の譜割り的に、
サブ人物のターニングポイント中心の物語に、見えてしまっていたのだ。
脚本を、尺計算として見ないと、この失敗に陥るだろう。
正しい位置、すなわち2分の場所に来るように、
この話をリライトするか、
編集で整えれば、
あるいは主人公中心の話に見える可能性がある。
(検証していないので、違うかも知れない)
「2分間の序」を作り直す方針にすると、
(この場合、いくらかを縮める、すなわち何かを落とす)
そこに何が必要かの取捨選択が出来るだろう。
必要なことは、主人公が陥るシチュエーションと感情移入(または興味)、
主人公の初期設定、それに対して主人公がどう行動するかである。
サブ人物についても全てをやると、とても2分では収まらない。
サブ人物については、このうち何かがないということになる。
この不完全さと完全さの差が、主と副を区別するのである。
もしあなたの物語が、
主人公よりサブ人物の物語になってしまっているとしたら、
譜割り上の第一ターニングポイント、第二ターニングポイントが、
「誰の」ターニングポイントであるか、確かめてみるとよい。
主人公の第一ターニングポイント、第二ターニングポイントを、
理想のタイムの場所に移動するように、
再構成してみるとよい。
それを移動することで、自動的に他のものが煽りを食う。
何かを落とす必要もあるし、追加しないと駄目かも知れない。
が、その二点を揺るぎなきポイントにすることで、
主人公は、主人公の位置を物語内で獲得するはずだ。
僕は比較的この二点を外さないように気をつけるので、
自作でここがぶれたことはない。
こういうひずみも脚本にはありえる、という例として、
他山の石とされたい。
(短編であっても、ハリウッド式の1:2:1は成り立つかも知れない。
僕は30分ぐらいの中編では1:1:1ではないかと睨んでいる。
この構成理論と譜割りについては、まだ研究途中だ)
2014年02月21日
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