むっちー様コメントありがとうございます。
ツカミなんて簡単簡単。
オープニングで鬼達の奇抜で凄まじい戦闘能力を見せて掴むのです。
金棒を使ったアクションがいいでしょう。
赤い肌は回復能力が優れていたり、
火を吐くやつがいても構いません。
中央軍が一方的に押される、そこへ人間がわの援軍到着、
鬼を押すのかと思いきや、
山の向こうから巨神兵の登場、炎でなぎはらい、人がわ壊滅。
「投稿して俺らの奴隷になるか、死ぬかを選べ」と鬼。
下手に立ち向かう侍は撲殺、
戦線が瓦解した侍たちは投稿し始める。
村を焼き払う鬼たち。絶望のはじまり。
日本人は、希望を失った。たった一人をのぞいては…。
という感じですかね。
ここから、桃太郎の村で話が始まります。
桃太郎の怪力を見せるのがよいと思います。
村人が困っているのを助ける形で、
彼の本質的な優しさを見せるとよいでしょう。
村を失う痛みをつくるため、
彼の恋人を出します。
次の村祭りを楽しみにしているのです。
村祭りで二人で踊ったあと、祝言をあげるつもり。
桃太郎と彼女が丹精こめて育てた田んぼも見せておきます。
彼女を好きだったけど諦めた、桃太郎の親友を出してもよいでしょう。
ところがその日、悲劇がおきます。
戦いではぐれた一匹の鬼が、村にやってくるのです。
さてどうなるのでしょう。
ここまで書けばツカミは充分かと思います。
恋人や親友を殺してもいいし、作物はめちゃめちゃにされるでしょう。
恋人のお腹に子供がいれば、それも殺されるでしょう。
ツカミに桃から生まれた、という例の話はなくていいと思います。
桃太郎もまた人ではない可能性は、
この物語ではいらないかもしれません。
ただ、超人的身体能力の根拠とするなら、
旅立つ前に、じいさんとばあさんが出自を教えてくれるかも知れません。
(どれだけ後で使うかで決めるべき)
ツカミと感情移入は、異なるものです。
物語の世界にひきこみ、
中断したら、ちょっと待ってよ続き見せてよ、
と思わせたら、
ツカミの役割は終了です。
オープニングは、5分までは何をやっても持ちます。
「マトリックス」なんてネオが出てくるまで8分あります。
その間にツカミをやるのです。
主人公で掴む必要はありません。
感情移入の第一歩は、この特異な状況に陥った主人公が、
どうなるかを見てみたいこと、と既に書きました。
桃太郎への感情移入の第一歩は、既にこの時点で完了しています。
当然、ふらふらとさまよってこの村に入ってきた鬼と、
桃太郎は出会う筈だから、彼の決断や行動に、
興味が持続するでしょう。
桃太郎は最初の鬼を倒すでしょう。村人に死人が出るかもです。
これが村長の耳に入ります。
村がとりつぶしになる、と知らされていた村長は、
桃太郎に鬼退治をたのむでしょう。
桃太郎は親友や男衆と、鬼退治に出掛けます。
今年の村祭りを、するために。
一幕の感情移入は、
このように、次を見たくなるようにつくるのが吉です。
なにも桃太郎をエキセントリックに描いたり、
スーパー魅力的な男に描く必要はないのです。
その状況に陥ったら、誰もがそうする、
という行動を素直に描いて、共感の第一歩をさせればよいのです。
今書いているのはあくまでプロットなので、
人物の性格設定や、人間的魅力に関しては、
プロットを組み終えたらつくっていけばよいでしょう。
彼なりの台詞や癖や哲学を創作してゆくとよいでしょう。
どんなエキセントリックで不思議な世界だとしても、
それで持つのは15分までです。
その先は、話自体の面白さが優先です。
多くのエキセントリックだが、話が面白くなかったダメ映画を思い出しましょう。
(ガッチャマンもそうですね)
エキセントリックではじめることは、ツカミとしては正しいですが、
それをしながら、感情移入の準備を同時進行する必要があります。
出来ればテーマに関する伏線も張っておきたいところ。
伏線は初出に仕込む原則からいけば、
桃太郎が最初に怪力で村人を助けるエピソードが、
第二ターニングポイントかクライマックスで、
形を変えて使われる筈です。
「桃太郎は強いなあ」「自分より強いやつがいないから、強いかどうか本当は分からない」
みたいな会話でもさせときますか。
これは、以前に書いた通り、先にクライマックスを書いてから、
決めることかも知れません。
ツカミは、誰でもつくれる。
問題は、お話をつくること。
お話さえ出来れば、あとはツカミを外付けすればよいのです。
あ、ファンと言って頂いてありがとうございます。
実生活でファンです、って言われることがあまりないので、
嬉しいです。
件のコメントを削除しないのは、
僕の嫉妬をきちんと見抜いている方だからです。
あんだけ金かける仕事、ちゃんとやってみたいわ。
嫉妬して批判するのは簡単なので、実際に中身をつくることで、
全うな批判になるかなあと思いました。
2014年03月23日
この記事へのトラックバック
無関心な人間が、あらすじやコンセプトを聞いただけで、なにそれ、面白そう!とわざわざ金を払ってまで観客になりにいくほどのつかみをいうのは、誰でも作れるものではないとは思いますが、
そのつかみに負けないほどの物語を見たいですね。
すさまじい鬼、奇抜な戦闘力をつかみにするというのは、オーソドックスなやり方ではありますが、他とどう差別化して面白く見せるのか、監督のアイディアというのを聞いてみたいです。
全体像やプロットイメージは、一連の記事で
十分なものを提示していると思います。
これと当のCMのビジュアルから想像できない方は、
残念ながら脚本論を議論するほどの想像力を持ち得ていないかと思われます。
(文面から考えるに、脚本を書いたり悩んだりの経験がないか、経験の浅い方かと)
そのような方に想像できるようにディテールまで表現することは、
プロの仕事なので、お代をいただくことになります。
(経験上、文字でも想像できなくて、コンテでも想像できなくて、写真合成でも想像できなくて、
テスト撮影しても想像できなくて、CGつくって音楽も足す羽目になります。
1000万円からお受けいたします。
ちなみに件のCMの制作費は、ざっと見積もって4000から5000万は必要です。
海外ロケしてるっぽいから、もうちょいかかってるかも。逆に国内で誤魔化し誤魔化しうまくまとめたかも。
CGで新しく表現を詰めていれば、その開発費も乗るけど、
時間があれば安くすむ。特急料金でやってればもう1000は上乗せかもです)
逆に、そのようなディテールで勝負しない部分を考えることが、脚本で一番基礎の部分の大事なことです。
このブログの脚本論は、主にそのようなことを考えることの出来る方を対象としております。
興味があれば、脚本論カテゴリを深く探られるとよいでしょう。一番上の記事からたどれるようにしてあります。