2014年03月26日

即興は、たいして凄くない

即興で何かやることが、
凄いことだという風潮があるが、
それは、クリエイティビティを理解しない人の理解でしかない。


台本がないから即興は凄いのだろうか。
では、我々台本書きは、
台本があって台本を書いているか。
否である。

我々が台本を書くのは、即興で書いている。
目の前の原稿用紙を見ながら、
ストーリーの現在と焦点を見ながら、
即興で話の続きを書いている。

即興と違うのは、最後まで一気にやる必要がないことと、
やり直し(リテーク、リライト)が可能なことぐらいだ。


即興は、逆にノー教養や無計画では出来ない。
芸術のルールに対する深い知識、
それを運用するうまさ、
あるネタについての調べものや幅広い教養、
などの引き出しの多さ、
どういう感じを出そうかという方向性があれば、
即興は可能である。

短時間に、というのは凄いことかも知れないが、
それとて準備をしていた可能性はある。

即興は、台本がないのが凄いのではない。
教養や準備、応用力が凄いのだ。
即興で歌をつくる、
即興で詩を書く、
即興で絵を描く、
即興でダンスを踊る、
即興で芝居をすることは、

即興で台本を書く、ことと分野の違う、
同じジャンルの出来事だ。

我々は即興で台本を書いていく。
第一稿でも、リライト中でも。
その意識を常に持とう。
どんなに計画しても、
「新しいこと」という芸術の最先端は、即興である。
posted by おおおかとしひこ at 18:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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