というのをまとめサイトでみた。
物語の本質をとらえた、とても良い方法だ。
検索してみてほしい。
具体的には、次の簡単なものだ。
・2コマ目または3コマ目を削除。
・4コマ目を新しく追加する。このとき、1コマ目と関係のある落ちにする。
(このニュー落ちを5とすると、1245または1345と書き直す)
たったこれだけだ。
適用条件があって、起承転結で既に書かれているのだが、
それでもイマイチな場合に限る、ということ。
つまり最初から不条理4コマで書かれているものには適用出来ない。
これが意味するところは、構造的なメタ的面白さや、
構造を破壊する不条理的な面白さではなく、
正統派の面白さを目指す場合、
イマイチな部分が出る可能性が高い、ということだ。
そして、たいてい、
展開部がたるい、
落ちが落ちきっていない、
の二点の欠点が、確率的に高いことを予言している。
詰まらない映画は、まず展開部がたるい。
最初30分がいかに面白くても、
ACT 2に入った瞬間ダメになる映画は沢山ある。
120分の映画を30分ブロックの4コマだとすると、
ざっくりACT 2の前半30分か、後半30分を切れ、
というのである。
ACT 3の予定だった30分が、
30分前倒してACT 2後半に来る。
たしかに展開は早くなり、クライマックス的な仕掛けである部分が前倒せば、
ACT 2全体は急に面白くなるだろう。
ドラスティックだが、非常に興味深いやり方だ。
起承転結の承は、起に比べ大抵詰まらなくなる。
じゃあ省略してしまえ、という考えだ。
別にダラダラやらなくても、さっさと緊張の高まる部分へ接続して、
面白味を継続させればよいのである。
落ちに関する法則は、これまた素晴らしい慧眼である。
最初の落ちは、大抵落ちていない、
落ちとは、1コマ目すなわち、起に関する落とし方にしなければならない、
という法則だ。
ブックエンドテクニックの例、
主人公の成長を見せる例など、
映画では、最初あったことがどう解決するかがラストシーンであり、
テーマ(この物語全体が、主人公にどんな意味があり、
観客や時代にとって何の意味があるか。語るのは二流で、
感じさせるのが一流)を意味する。
詰まらない映画は、これが出来ていない。
ただこれまでの後半の話を受けてその結末を描いて終わりで、
それが何の意味があったのかが、
腑に落ちないものが多い。
(結局何がしたかったんだ?というのは、そういうことだ)
例えば、先日見た詰まらない映画に、
「偉大なる、しゅららぼん」がある。
結末は、棗(渡辺大)が生きていて転校生としてやってくる、
であったが、それが冒頭部とは関連がない。
主人公涼介(岡田将生)の願望は「友達が出来ますように」だった筈だが、
それが棗である、ということは劇中を通じて焦点が合って
語られていたことではなかった。
むしろ、淡十郎(濱田岳)という友達が出来た、
ということのほうが、冒頭部の帰結としては正しい。
転校生である主人公に、へんてこだけど親友や友達が出来ました、
という、力とかとは違う、日常的なものが普遍である、
という友達落ちが、
本編のテーマかどうかについては微妙ではある。
これをテーマにするなら、力という血生臭いものを、
さらに推し進めて描いて、対比するべきだ。
それが観客にどんな意味をもつか、という所まではいききれないが、
少なくとも、淡十郎や棗や大野いとと、
美術部で騒いだり力を誤った方向に使ったりなどのドタバタ、
そこに馬に乗った深田恭子が乱入してくるドタバタを描き、
「愛すべき、友達が出来ました」というナレーションで終わり、
冒険で割れてしまったカワラケ(願いを叶えれば割れる)が映れば、
一応の大団円にはなったのではないか。
(ついでに、八郎潟で結婚の約束をしていた娘が60年後ばあさんになって、
源じいを訪ねてくる、というフォローも必要だろう)
これらのエンドを挿入する分、ACT 2のどこかをざっくり切ればよいと思う。
あまり覚えていないが、校長の反乱以前のどこかで良い。
(校長の反乱に代わる、何かをACT 1の15分ではじめる必要がある。
危機が迫っている大事件だ。それは校長の仕業だったのだ、と繋がなくてはならない)
この脚本には様々な欠点があるが、
テーマが分からないことが、
最大のモヤモヤを生んでいることは間違いない。
原作にないから、というのは逃げに過ぎない。
映画にテーマがないなんてあり得ない。
仮に冒頭部のものを使って、「友達が出来る」ということを係り結びとしたが、
一応の落ちでしかなく、テーマ的な落ちではない。
原作にないのなら、
この映画のテーマは何か、決めるところからやるべきだ。
逆にいえば、テーマは1コマ目と4コマ目の連関でつくるのだ。
詰まらない4コマを面白くする方法は、
詰まらない脚本のリライトを、
大掴みに考えることの出来る、優れた方法だ。
2ちゃんの書き込みからはじまったのだが、
書いた人はリライトに慣れた編集者かシナリオライターではないだろうか。
2014年03月30日
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この方式ですが、私は今、投稿用の小説のプロットを練っているのですが、これがこのブログの指摘にあるように、どうもACT2部分が面白くならなさそうなのです。
ただ主観的な判断では、その私の小説は
ACT1 面白くなるかも
ACT2-前半 まあまあ面白いような
ACT2-後半 つまらないような
ACT3 面白くなるかも(結構オチてる気もする)
というものなのです。
すると、この理論を使うと
ACT1 面白くなるかも
ACT2-前半 まあまあ面白いような
ACT2-後半 削除
ACT3→ACT2-後半 面白くなるかも(結構オチてる気もする)
ACT3 新規エンド ←しかし元のオチが結構いい気がするのだが? それと別のオチを作るのか?
という新たなACT3部分をどうするか、という悩みがでてきます(この理論は、ACT2-後半(またはACT2-前半)とACT3の二つがよくない場合の対処法だと思います)。
小説なので例えば原稿用紙200枚予定を150枚の作品にしてしまう、というのもありかもしれませんが……。どうも釈然としないような。小説公募にも規定下限枚数があり、その枚数に足りなくなるかもしれなかったりとか……。
シナリオ(2時間の映画にしろというオーダー)の場合は、たぶんもっと切実な問題になるはずで、元の案のACT3できれいにオチていたとしても、30分分は必ず新・ACT3で新たな展開とオチを作らねばならないわけです。
これはなかなか厳しい感じがします。
机上の空論かもしれませんが、
ACT1、ACT2-前半、ACT3 の案が面白くて、ACT2-後半だけつまらない場合の対処法は、なにかあるとお考えでしょうか?
もしよろしければご教示いただけますとありがたく存じます。
いつもブログで勉強させていただいております。ありがとうございます。
だとすると、その話はもともと3コマ漫画だったのではないでしょうか。
それを4コマに増やしても蛇足になるだけかなあと予測します。
枚数はわかりませんが、
縦方向(時間方向)に引き伸ばすのではなく、
横方向に伸ばす、つまり登場人物を増やし、
サブプロットを増やすのは自然かもしれません。
そのときにランダムなテーマではなく、
メインプロットの真裏のテーマとか、
対になるべきテーマとか、
メインプロットの実はこうあり得たかもみたいなテーマに関連していくと、
メインのテーマも深くなるのではないかと思われます。
物事を一面だけで描くのではなく、
多角的に描くイメージです。
難しければ、最強というテーマの周辺で、
打撃系の愚地と、投げ系の渋川が対立的にいるような、
刃牙の感じをイメージするとよいかと。
今愚地の話しかないなら、渋川の話を作り出せば、
3コマの話の中盤が分厚くなるかと思います。
ただメインの敵対者がいると思うので、
それより目立っては本末転倒なので、
新キャラを出すのか、
メインキャラを深く彫り込むかはストーリー次第ですかね。
参考になったでしょうか。
つまり、私の書こうとしている作品は
1 2 3 4 のコマのうち、
3コマ目が元々つまらない(いらない)ので、3をはぶいて
1 2の1 2の2 4
というコマ構成を考えるというのもあるのでは、というご助言かと理解いたしました(違ってたらすいません)。
今後、熟考してみたいと思います。
いつも本当にありがとうございます。
とはいえ、
単体で詰まらないんだけど、中に入れてみると面白い、
またはその逆、
とかもよくある話なので、
ほんとうの原因がそこかはなんともいえないです。
単純に3を取り除いた状態で一気読みしてみて、
両者を確認するのが、
一番大変だけど確実に判断できるところです。
たぶんおっしゃる通りだと思いますし、具体的には(小手先ではなく)稿を重ねて検討すべきなのかな、とも思ってきました。
いつも貴重な文章をいただき、本当に感謝しております。
ありがとうございます。
すごいプロを考えます。
きっとやらずに正確に予測できるでしょう。
それが出来ないなら、
めんどくさいけどやるしかないです。
何回もやっていくうちに、
能力がついてきます。
学問に王道なしで、
すごいプロは全部それをやった人のことです。
おっしゃる通りだと思います。
早くやらずに予測できるようになりたいなあ……。
永遠にその域には到達しなさそうですが(笑)。
まあ、その場合は永遠にめんどくさいことをやり続けようかと思っております。