繰り返しになるが、
時間軸をもたない「いい」と、
時間軸をもつ「いい」である。
時間軸をもたない「いい」には、
見た目のよさ、デザイン、配色、
見た目の美しさ、恐ろしさ、
見ただけで魂を奪われる感じ、
造型、ファッション、音楽などがある。
これらは、
劇中曲(つくる音楽か既存を使うかで、
つくる部署と契約部署に別れるが、音楽部の仕事)、
ロケーション(ロケーションコーディネーターの仕事、
ロケーションにつくりこみを施す美術部の仕事もある)、
光や天気(照明部、撮影部、天気とスケジュールを調整する助監督の仕事)、
美術セット(美術部の仕事)、
衣装(衣装部の仕事)、
小道具(美術部の仕事)、
CG(CG部の仕事、及びデザイナーの仕事)
俳優の美しさ(俳優部とメイク部の仕事。ときにシワ消しなどのCG部の仕事も含む)、
などの要素で表現される。
これらのデザインなどを単純に世界観ということも多い。
監督はその総合を担当するので、
この世界観を持って監督の才能と誤解する人もいる。
(独特の絵面で人気を博す人も、いることはいる。
CM出身者に多い。岩井俊二、中嶋哲也などはそのトップだ。
僕はいっときクレラップで受けたけど、
あれ以外の仕事のほうが多い。風魔をクレラップ風でやったら怒られるし。笑)
監督のセンス、といった場合、
既に出来上がったこれらのスタッフィングを含むこともあるが、
別のスタッフで組み合わせるのもスタッフィングの醍醐味だ。
(既に出来上がったスタッフに、監督だけ放り込まれることもある。
「いけちゃん」のときはそうだった。
主題歌以外の音楽部とCG部と蒼井優のキャスティングのみ、
僕の希望が通った)
絵の中の「いい」が、
本当は誰の仕事なのかを見極めることは難しい。
ある映画のトーンが凄く好きで、
その監督を追っかけてもばらつきがあって、
実はカメラマンの仕事だったということもある。
衣装が凄く可愛いからそのスタイリストを追ったが、
実は監督のセンス、ということもある。
いずれにせよ、
これらの「いい」は、時間軸をもたない。
写真的要素とか、静止画的要素、と僕が呼ぶ所以だ。
時間軸をもつ「いい」は、
話の面白さ、展開の意外さ、引き込まれて夢中になる感じ、
笑いや感動などの心が動くこと、
オチやテーマのよさ、
台詞のよさ、演技のよさ、所作の美しさ、
などがある。
脚本部と監督と編集部と俳優部と撮影部の仕事だ。
美的センスも重要だが、それより頭を使う部署だ。
これをうまく表現する言葉が貧弱なことは既に書いた。
多分、名詞や形容詞という言葉自体が、
変化や流れを示すより、静止的なことを示すことが得意だからだ。
我々は脚本の面白さや良さについて、
沢山知らなければならない。
それには、アカデミー脚本賞や脚色賞作品を見るだけでなく、
これらの良さを、分離して見る目を養う必要がある。
相変わらず桃太郎記事のアクセスが伸びている。
かのCMがいいという人と、僕は友達になれない。
あれだけ見た目の「いい」しかないのは、
一種の美術工芸品だと思えばよいか。
それがパクリまくりではねえ。
元ネタを知らない人を騙すには、丁度いいのかも知れないが。
日本が海外に追いついたから凄いという人もいる。
いやいやいや、オリジナルを生み出すほうが凄いだろ。
金がかかって凄いというのなら分かるけど。
例えば人を好きになるには、ふたつのルートがある。
見た目を好きになるのと、
中身を好きになるのとだ。
ものすごくざっくりいうと、
写真ベースとテキストベースということか。
今の時代、前者が偏重されすぎていることに、
自覚的でない人が、多いと思う。
2014年04月08日
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