リライトの鉄則だ。
絵をかくのも同じだ。
デッサンが狂っているのに、絵の具をいくらリアルに重ねても無駄である。
しかし、文章というものは、見た目が字が続くものだから、
大をなおすことより、小をなおすことに、
気がとられてしまいがちだ。
ちょっとした言い回し、台詞の間、
ある一行を言うか言わないか。
そんなことは小の直しであり、
そもそも大を直してからすることである。
大を見るにはどうすればいいか。
メモを取らず、一気読みすることだ。
その細かい部分はおいといての、
全体の印象が、大のことである。
リライトをするときは、必ずこれをしよう。
一気読みをして、
思い出しながらメモを取る。
あれをこうしたほうがいいとか、
あれはよくなかったとか。
このメモを脇において、大なる直しをする。
大なる構造とは、三幕構成である。
それぞれの分量が適切かをまず見る。
境目である、第一ターニングポイント、
第二ターニングポイントをそれぞれ発見する。
五行のメモをつくる。
ACT 1
第一ターニングポイント
ACT 2
第二ターニングポイント
ACT 3
で、一行で何が起こったかを、書いてみる。
これが全体の骨格だ。
それぞれが、それぞれの役割をきちんと果たしているか、
まずは確認することだ。
それらは順接の展開になっているか、確認すべきだ。
バランスも大事だ。
理想の尺配分になっているか、ページ数を書き出して確認する。
シナリオのフォーマットで述べたやり方なら、
1ページ1分だから、すぐに尺が出せる。
まずこれが、全体の骨格を見るということである。
これに、オープニングとラストシーンを足して、
7行で考えてもよい。
全体がどういう流れになっているかを、
確認するには、これぐらいの粒度で全体を見るのがよい。
これが適切な形になるまで、リライトをするべきだ。
はじめて脇においたメモを取り出し、大掴みにリライトの方針を立て、
メモを取る。
リライト方針をメモするのは、
最初の計画を確実に実行するためだ。
途中で別の思いつきが生まれる可能性があるからだ。
その思いつきが、最初のリライト計画を大幅に変更するのなら、
どちらをすべきか、また大掴みで考えるとよい。
台詞の間とか、細かい言い方とか、
今直しても、構造的変更の波に巻き込まれるだけだ。
構造が落ち着いてから、
すなわち、7行のブロックがそれぞれの機能をきちんと果たし、
いい尺になってから、はじめて細かいところを直すときだ。
リライトの下手な人は、小ばかりを直して、
大の欠陥に気づかない。
まず、大を見る能力を身につけよう。
2014年04月15日
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