2014年04月18日

ブロックリライト法

リライトするときの、経験的なやりかた。
ちょこちょこ直せば直すほど、
小さな整形を繰り返すみたいに、
よくなったのか悪くなったのか分からなくなる。

そこで、ブロックごと書き直す。
そのブロックの入力と出力を、まず考える。


ブロックの単位はシーンか、シークエンスのひとかたまりがよい。

入力とは、
そのブロックの以前の文脈のことである。
それぞれの人物の、この直前の動機や目的、
このブロックで使う予定の、既に張った伏線、
直前の観客の興味、
などだ。

逆に出力とは、
このブロックを終えたときの、
それぞれの人物の気持ちや、
(変更があれば)新たな動機や目的や、焦点であり、
そして、
このブロックで達成されていなければならないこと、である。


この入力と出力さえあっていれば、
どう書いても構わない、
と思うのである。

今まで書いた原稿は忘れ、
白紙に一から考えてみよう。
一番上(左)にブロックの入力、一番下(右)に出力を書き、
間の白紙を、新しいバージョンの面白いストーリーで埋めるのである。
一種の穴埋め問題のようだ。

自分の作品と思わず、
練習問題だと思ってやってみると、発想が自由になる。


場所も変えてもいい。
出番を変えてもいい。
とにかく入力と出力さえあっていれば、
どうやっても構わない。
色々工夫して、全く新しく創作してみるのだ。
ざっくり何通りか思いつくかも知れない。
そのときは、それらのバージョンをメモし、
一番面白くなりそうなものを練ってゆく。
(行き詰まったらメモした別バージョンを考える)

この穴埋め問題を、複数人で同時に競争で考えている、
と思ってもよい。
(実際、複数人で書くときはこの方法がよいだろう)

その中で一番奇想天外なものや、
一番泣けるものや、一番テンポのいいものや、
一番笑えるものや、一番唸るものが、
とりあえずの正解だ。

書けたら、元のブロックとごっそり入れ換えてみよう。
それが前後にいい影響を及ぼし、
色々それに合わせて書き直さなくてはいけなくなり、
それがよくなりそうなら、多分正解だ。


ビリー・ワイルダー監督作品では、
頻繁にこうしただろうな、
と思われるブロックが現れる。
そうでもしなければ、あそこまで完成度が高いものは書けないと思う。
posted by おおおかとしひこ at 02:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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