リライトするときの、経験的なやりかた。
ちょこちょこ直せば直すほど、
小さな整形を繰り返すみたいに、
よくなったのか悪くなったのか分からなくなる。
そこで、ブロックごと書き直す。
そのブロックの入力と出力を、まず考える。
ブロックの単位はシーンか、シークエンスのひとかたまりがよい。
入力とは、
そのブロックの以前の文脈のことである。
それぞれの人物の、この直前の動機や目的、
このブロックで使う予定の、既に張った伏線、
直前の観客の興味、
などだ。
逆に出力とは、
このブロックを終えたときの、
それぞれの人物の気持ちや、
(変更があれば)新たな動機や目的や、焦点であり、
そして、
このブロックで達成されていなければならないこと、である。
この入力と出力さえあっていれば、
どう書いても構わない、
と思うのである。
今まで書いた原稿は忘れ、
白紙に一から考えてみよう。
一番上(左)にブロックの入力、一番下(右)に出力を書き、
間の白紙を、新しいバージョンの面白いストーリーで埋めるのである。
一種の穴埋め問題のようだ。
自分の作品と思わず、
練習問題だと思ってやってみると、発想が自由になる。
場所も変えてもいい。
出番を変えてもいい。
とにかく入力と出力さえあっていれば、
どうやっても構わない。
色々工夫して、全く新しく創作してみるのだ。
ざっくり何通りか思いつくかも知れない。
そのときは、それらのバージョンをメモし、
一番面白くなりそうなものを練ってゆく。
(行き詰まったらメモした別バージョンを考える)
この穴埋め問題を、複数人で同時に競争で考えている、
と思ってもよい。
(実際、複数人で書くときはこの方法がよいだろう)
その中で一番奇想天外なものや、
一番泣けるものや、一番テンポのいいものや、
一番笑えるものや、一番唸るものが、
とりあえずの正解だ。
書けたら、元のブロックとごっそり入れ換えてみよう。
それが前後にいい影響を及ぼし、
色々それに合わせて書き直さなくてはいけなくなり、
それがよくなりそうなら、多分正解だ。
ビリー・ワイルダー監督作品では、
頻繁にこうしただろうな、
と思われるブロックが現れる。
そうでもしなければ、あそこまで完成度が高いものは書けないと思う。
2014年04月18日
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