2014年04月22日

脚本添削スペシャル(1)まず脚本形式にする

本ブログ一周年記念スペシャル「公開脚本添削」、やってみます。
映えある実験体は、ほらさんです。
「流星の侍」という10分くらいの時代劇を応募してきてくれました。
「世にも奇妙な物語」枠でありそうな世界観。
ありがとうございます。

さて、気になるその脚本は…


一読目の感想でいえば、よくあるパターンだけど、
ビジュアルは悪くない気がしました。
しかし、お話がなんとも物足りない。
半分ぐらいの尺でいいような話を、引き延ばされているような気すらしてくる。


その前に、まず基本的な部分からいってみましょう。
「脚本の書き方」が半人前すぎます。
これではプロは見てくれません。

応募原稿がこちら。「流星の侍」もとの応募原稿.pdf
そして、赤を入れてみました。「流星の侍」第一次赤ペン先生.pdf
容赦ないツッコミですが、内容にはまだ触れていません。
表現されたものを、「脚本の形式」にしたまでです。
文字打ちして清書してみました。「流星の侍」第一次赤入れ清書.pdf

これで、ようやくお話が「丸裸の状態」で見れるようになったわけです。
脚本というものは、この丸裸で勝負しなければいけない、
ナイーブかつタフな闘いなのであります。


さて、気になるところが少なくともみっつあります。

・河童に出会うまでがながすぎる
(極端にしてみよう。トップシーンは賭場の外に、次郎丸が蹴り出された所。
「木戸銭も持たねえ奴はけえんな!(ぴしゃり)」「あうあう」
その空に、流れ星。と、見る間に大きくなり、山へ落ちる。走り出す次郎丸。
山の入り口。「おい! おい!」とヘンな声。茂みをかきわけると、河童がいた。
9シーン5分半かかっているところを、2シーン1分以下で表現出来ます)

・おりょう、いる?(一人身の侍でも話は成立する)

・で、この話のテーマって何?

です。


さて、この話をリライトしていくに当たって、
若人が書きがちな、よくある過ちを列挙してまいりましょう。
その過ちこそが、脚本というお話づくりの、邪魔になっているのです。
(つづきます。見て分るとおり、結構手間なので、ゆっくり書いていきます)
posted by おおおかとしひこ at 21:29| Comment(8) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。板橋と申します。

この脚本論、ずいぶん読ませていただきました!
実は私はこのブログを見つける前から1時間半の自主制作映画を作っていたのですが、
撮影完了間際でここを見つけて色々と自分の作品に当てはめて考えられて面白かったです。

クレラップ夕やけ編のCMを見るまでは、CMで感動なんて本当にするのか?と思ってましたが、あれを見たときに脚本論があの短い尺にぎゅっと詰まっていてこりゃすげえ!と思いました…
最近では公園のCMのブログ。あれを読んだときも映画を見たくらいの感覚がありました。
(個人的には「多分、大丈夫」よりもそれらのCMの方が好きでした。)


…それで、別に褒め倒してどうしようというわけではないんですが、
自分の作成したその自主映画をyoutubeにアップしております。
音楽も自ら作った意欲作となっています。

どう思われるかはわかりませんが、脚本的にどうであるなどの感想をいただけないかと思ってコメントしております!
音楽もすべて自作、俳優は一人もいない、というゲリラ的作品ですが、
自主制作映画ゆえに、当然ゴリ推しキャストも無茶なストーリー改変も強いられない中で作ったものです。


「抜本 -BAPPON-」 アクション映画 1時間29分55秒
http://youtu.be/2kzL09kQik4

予告編も用意しています。
http://youtu.be/MQ5wUpYbVM0



3月の末には諸事情で非公開にするため、それまでに見ていただけるとうれしいです。

ブログのどこかで確か「脚本添削は随時募集してます」というような記事があったと思い出し、突然のお願いをしてみました。

それでは、ご検討ください…。


Posted by 板橋 at 2015年03月05日 00:36
板橋さまコメントありがとうございます。公園は自信作だったので。

流石に1:30尺の添削は有料じゃい!
質問程度なら答えられますが。
添削スペシャル(10分以内ぐらい)は二周年企画で四月にでもやろうかと思いますので、新作を書くのも宜しいかと。

本編を見られるのは先になりそうなのですが、予告は拝見しました。

アクションもの、って最初に掴んだほうが良かったような。まじめなのかB級ギャグなのか、真面目な顔してボケ続けるのか、ジャンルが分からないのが不安。
いずれにせよ、
「少子化対策の鍵を握るのは、伝説の「本」だった…! 」
という一行でセットアップの殆どが出来てしまいそうだし、煽り文句はもっと練ることが出来そうです。
カラコレとか、合成(アフターエフェクト?)なんかはうまい。時代劇まで一応やってておもろかった。

何を楽しみにすればよいか、絞りきれてない感じがしますが、これは本編を見れば解決するのかしら。
(このへんテーマの話でまだまだ掘るつもり)
本編見たら、感想書きますね。
Posted by 大岡俊彦 at 2015年03月05日 01:44
早速のお返事ありがとうございます!!そしてお返しが遅くなり申し訳ないです…。
たしかによく考えたら1時間半の添削はやばいですね…汗。ねじまき侍でもあの連載数だったのに、「抜本 -BAPPON-」でやって頂こうというのは完全に不躾でした…。


そして、さっそく予告編見て頂きありがとうございます!
カラコレや合成はAviutlという完全無料ソフトでやってます!ここを褒められたのはうれしいです。

そしてご指摘の件はあまりに的確過ぎて、確かになあと反芻しているところです。この映画は「まじめな顔でぼけ続ける」タイプなので、そこをガツンと伝えたほうがとっつきやすそうですね…。
「ギャグなのかシリアスなのか!?」みたいなのでうまい煽り文を考えようと思います。


そして一つお伝えしようか迷っていたことなのですが、実は予告編にも出てきている「抜本的少子化対策」の本ですが、これが実は実在する小説なのです。(この本を書いた人が主演で、私の友人です)
ただ、その小説と映画のストーリーはまったく関連がなく、ただ「抜本的少子化対策」が主人公が戦いに使う道具として出てくる、というだけです。

友人が書いたこの小説を壮大に取り上げた自主映画(すごく遠まわしにこの本が買いたくなるような映画)を作ろう、という目的が当初にありました。
その辺りの縛りもあって、「少子化に絡めた戦い」を売りにしているのか、「本で戦う」を売りにしているのかがもしかしたら集約し切れていないように見えてしまうのかな、と思いました。

本編では時代劇シーンは完全におまけ、少子化対策はモチーフに使っているだけ、という感じなので、売りにしてるのは「本を使ったアクションバトル(本で戦うヒーローもの)」です。
それが伝わっていないということは、やっぱり予告編はもう一歩詰める必要があったのかな…と思っています。


長々と書いてしまいましたが、本編も見ていただけたら非常にうれしいです。
自主映画にしては長いですが、面白い映画と思って公開はしているのでいつか感想をいただけるのをお待ちしています…。(褒められてもボロカス言われても、プロの方に感想もらえた時点で貴重なので嬉しいです。)
Posted by 板橋 at 2015年03月08日 01:45
何度もすみません…
「まじめな顔してぼけ続ける」と言いましたが、
正しくは「最初はギャグっぽいけど最後はシリアス」で、
ギャグ設定に見えた本で戦う様子が、最後にはシリアスに見えてくるイメージでした。

「ギャグに始まり、シリアスに終わる」

とかそんな感じかなあ、と考えました。
キャッチコピーや煽り文は難しいですね…!

以上、連続コメントで恐縮ですが、ふと思い立って書いてしまいました。
Posted by 板橋 at 2015年03月08日 02:16
「抜本」見始めましたが、15分で脱落しました。
親切に見たほうだと思います。B級をなめちゃいけません。D級ぐらいかと思います。
芝居や撮影の稚拙さはこの際気にしません。僕らの学生時代もこんなもんでしたから。

ギャグというからには、少なくとも10分以内に一回ぐらい「ここ面白いですよ」という箇所があるべきです。
それかな、と思えたのは首相の家の地図がえらい広い日本地図になってたところぐらい。
明確にボケて笑いを取ろうという意図が感じられませんでした。

ジョージアが落ちてきて頭に当たるのは、笑いではないでしょう。サイが尻に刺さるくらいは香港映画ならやるでしょう。

ボケ倒しをするなら、頭5分で10個はボケてください。

情報屋ジェイムスとの会話が面白くないのに、「ここ面白いですよ」という音楽を被せるのは、一番笑いを理解していない証拠です。
二人の台詞のやり取りだけで(つまり脚本だけで)笑いを取れるレベルまで練り上げること。
あれで笑うのは、相当笑いのレベルが低い人だけです。
大阪人は、間違いなくものを投げるでしょう。


脚本論的にいえば、冒頭のナレーションはいらない。
「少子化は何故問題なのか」がわからない。
「この映画上で何が問題か」を示すべきです。それを救えばこの映画は終わるわけですから。
たとえば「少子化によって美人が減り、アイドルグループに不細工が増えている」が問題としても構わないでしょう。
「主人公の活躍によりアイドルが美人ばかりになった
(その絵は出さずに、勃起で終わる)」というラストなら、
この話が解決したことになるのです。

絵で示せる問題、絵で示せる解決。
シリアスでも、ギャグでも。


ギャグからはじめてシリアスに終わるのは、文法的には間違いです。
最初に示した問題は、最後に解決していないことになります。

プロは脚本をどう読むかご存知でしょうか。
冒頭10分程度を読みます。ラストを先に見ます。
それで面白ければ、中を読むのです。

さいわいYouTubeなので、冒頭15分のあと、ラストだけ見ました。
著者本人かよ、てところしか面白くない。
つまり、本編は面白くない、ということになります。
キャッチをうまくつけられないのは、キャッチの才能ではなく、本編の薄さのせいです。

そもそも少子化が問題といっておいて、ラストは本が売れた、という解決。少子化は解決してないやんけ。


厳しいようですが、丁寧に批評したつもりです。
普通ならノーコメントゴミ箱行きのレベルです。
この程度で傷ついて辞めるなら、才能のある人のチャンスがひとつ増えたことになるし、
この程度で折れないのなら、次を書いてください。


志があるなら、M1グランプリの決勝のネタぐらいは、
文字起こししてみてください。
言い方ではなく、文字だけで笑えるはずです。
脚本は、その先にあります。
Posted by 大岡俊彦 at 2015年03月19日 22:55
コメントありがとうございます!

かなり丁寧にコメントをいただきましてありがとうございます。
冒頭でつかめなかったらオシマイというのはおっしゃるとおりで、他、ボケの弱さやその他もろもろも反省点とします!
幸い心はそうそう折れないのでその点は大丈夫です。心蛇腹折になってもすぐ戻ってしまいます。


>脚本論的にいえば、冒頭のナレーションはいらない。
>「少子化は何故問題なのか」がわからない。
ここが特に問題だと思いますので、次に活かそうと思います。

ラストは、「この本を手にとった人が少子化を救っていくだろう」
というような意味合いではあったのですが、
いずれにしても問題が解決してねえじゃねえか、というご意見はしっかりと受け止めます。

そして、確かにB級を素人が自分で名乗るのは調子に乗っておりました笑
さらに言いますと、音楽も自作曲だったのですが、裏目に出たところもあったようですので、こちらも磨いていこうと思います。

実は私の父が、小説や漫画原作を書いておりまして、
その父にも、「ギャグならばもっと意識的にギャグにふるべきだったろう。」
と言われています。
なのでこの点はプロ二人に指摘されてますので、
B級を名乗るならばB級まで登りつめてからにしようと思います。



…と、とにかく上記の通り、
脚本的なところはボロボロだということを受け止めたのですが、
もしできれば、映像編集にも強い大岡監督に、1時間14分〜17分辺りの編集(エフェクト)を見ていただけますとうれしいです。
カラコレや合成はまあまあだ、と予告編では言っていただけましたが、その技術も見るに耐えないものなのかどうか感想が非常に気になっております…
脚本・編集・音楽とやっていますので、いずれへの批判も受け止められる体勢です。

ノーコメントレベルのものをもう一回見る気になってもらえればのことではありますが、
脚本的なところではなく割り切って編集・合成のレベルでその3分だけ見ていただけたら幸いです。


プロの方に簡単にお願いするのは失礼なことではありますが、
次を作ろうという気持ちが存分にある中でのお願いです。



以上、長くなりましたが、とにかくコメントありがとうございました。
雑魚素人を相手にしている場合ではないとは思いますが、
心が折れることは決してないので、
雑魚脱却に向けて進んでいきます。



Posted by 板橋 at 2015年03月20日 03:53
編集結果そのものは下手です。それは、編集を想定して撮影してないからです。
(もっとひどい素材がそれなりに見れているのなら、上手いと言えますが、上がりとしての話)
単純にイマジナリラインの破綻、寄り引きのバランスの悪さが気になります。編集の極意は、編集に気づかないことです。カットが変わるたびに引っかかりが多い気がしたので。単純にカットを割りすぎて、芝居がつながってないし。

エフェクトは、素人にしては頑張ったほうだと思います。
ですが、どこかで見たものばかりで新鮮さはありません。
プロはエフェクトから新しくつくりますからね。

会話の内容といい、深夜アニメと対して変わらないなあ。僕は逆襲のシャアの会話ですら詰まらないと思ったぐらいなので、退屈きわまりなし。
それは、演説をしてるからなんだよなあ。言ってる内容が弁論大会になってる。映画は討論ではなく、絵で示さないと。
「絵で示す」とか、象徴表現とかに気をつけて、名作を見てみるとよいでしょう。

音楽もふくめ、FF的な何かを感じました。
リアルな人間は、そういう話し方(芝居じゃなくて、言葉の展開)をしないよね。



一人で作る分量としては、このへんが限界でしょう。
逆にここから伸びなくなるので、
編集・合成だけやる、
撮影・カラコレだけやる、
音楽だけやる、
脚本だけやる、
監督だけやる、
などのパターンで経験を積むとよいでしょう。
仲間の監督作品に、スタッフとして参加するのはとてもよいことです。
Posted by 大岡俊彦 at 2015年03月24日 23:16
感想ありがとうございます。
感想を頂いた数日後には、諸事情でyoutubeでの公開をやめる必要があったので、
その前に見て頂けてよかったです。

編集の件ですが、確かに引っかかりは多いと感じています。
今思えば、元素材の時点で、編集を想定できていないところもあったように思います。
天気やら時間やらバッテリーやらの関係でとにかく撮りきることに向いてましたが、
事前に完璧なところまで練っていないことの表れとも言えますね。
イマジナリラインは気にしてたものの、
寄りと引きのバランスは言われたことがなかったので、参考になりました。

ただ、指摘を受けて考えてみるに、編集結果が下手なのは編集力のなさよりも
絵コンテや、撮影センス・技術のなさが原因かも知れない、
と思いました。


エフェクトで新鮮さというのは面白いですね。
次は短編の予定で、合成も特にない予定ですが、合成やエフェクトも斬新なものを考えてみます。
(確かに映画にしろRPGの呪文にしろ、見たことないようなエフェクトだと「お!」と思います。)


自分はあまりFFはやらないのですが、音楽含めてFF的ななにかを感じられたというのは意外なところでした。
作曲を始めたのはドラクエのすぎやまこういちの音楽がきっかけだたので、
氏の音楽を聞き込んで分析しまくりはしたものの、
FFはちょろっと聞いてる程度だったのでFF的と言われるとは予想外でした。
おそらく、作り物くさいセリフが、そのまま盛り上げる演出的音楽に乗ったことで滲み出た雰囲気がそれなのかな…
と思いましたが。
後は、音楽もまだまだ深みが足りていないハリボテのようなところがあったのかも知れません。
とにかく、リアルな人間の話し方にはもっと日常から敏感になろうと思います。



色々と書かせて頂きましたが、おっしゃる通り、
今回は長編なのに色々自分でやりすぎたので限界部分はありました。(見る人には関係ないですが)
実際、これ以上エフェクトに力を入れていたらいまだに完成してないくらいなので、
次はスタッフとして参加したり、作るにしても短編にしたりして経験を積もうと思います!

周りにも芸人やら小説書いてる人やらはいますので、そういった分野の人からも色々と話を聞いて、
次回作を作っていこうと思います。

それでは、てんぐ探偵のリライトがんばってください!

Posted by 板橋 at 2015年03月30日 23:50
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