昨日友人の舞台俳優と話してて知ったこと。
声を出すとき、全身をアンプにする。
(ここまでは知ってた。オペラのベルカント唱法は頭蓋骨から出す意識らしい。
姿勢のよさが発声に絡むことも。経験的に、姿勢は声のテンションに大事だ。
アフレコ時、立ってマイクに言うときと、芝居の体勢で言うときでは、
全く違う)
ここからが知らなかったこと。
体を正面に向けたまま、
前だけに声を出したり、
後ろに主に声を出したり、
左半身右半身から、声を出したり出来るそうだ。
全身をアンプにすることが出来るのなら、
意識でそれを統御しているということだろうか。
実験室で測定したわけではなく、
舞台という空間をどう支配するか、という身体論であると思う。
(科学的には声帯からしか声は出ない筈だが、
歌手や舞台俳優は、共通して体をアンプにする方法論があると思う。
腹式呼吸の併用もそうだ。腹式呼吸にしてる段階で、
普段の胸式呼吸よりも大きなアンプになる筈だ。
そのようなやり方だと、喉が枯れにくいという。
僕はマスターしてないから、カラオケで一晩歌えば喉は枯れる。
しまった、カラオケで実験してみればよかった)
思考実験的に、
閉鎖空間でない開放空間でも出来るか、という質問をしてみた。
舞台はハコが前提だ。
壁や天井の反射を使っている筈だと思ったからだ。
野外劇場ですら、天蓋があり周囲に木があって反射を工夫しているらしい。
草原のような所では自信がないと言われた。
多分反射がないと駄目だろうと。
(あと多分客がいないとやりづらいだろうと思う。
舞台俳優は、客を見ながら、これは届いているかを微調整していくそうだ。
我々が映画やドラマをつくるとき、監督がまず最初の観客になるべき、
ということはこれを意味している。
最近カメラ脇にいなくて、後ろの席でモニターを見る監督が増えた。
役者にとって、観客になってあげない監督など意味がない)
科学的には、
腹式呼吸や気道や身体操作によって音場をつくり、
周囲の反射も使って定常波をつくる、
ということが音響工学的に言えそうだ。
しかも、マイクを通すとこれは出来なくなるらしい。
昔から僕は、生音とマイク/スピーカーの音は違うと直感的に思っていたが、
(マイクは現実の音の一部しか拾っていない)
図らずもそのことの証言を得られたような気がする。
その話ではその後ソリトン波という半分オカルトの話になってしまったが、
(スズムシの声はドップラー効果がかからない。
これは縦波でなく横波成分が多いからだ。
昔から巫女の声はこのような発声法で…などの話)
その場でやってもらい、実験してみたほうが良かった。
我々の脚本は、最終的には俳優の肉体によって演じられる。
我々が日常を生きている身体の使い方でないやり方が、
俳優にはある。レッスンや俳優同士に、伝承されるやり方である。
恐らくここで書いている脚本論ぐらいは、
あるはずである。
発声とは何ぞや、とその一部でも知りうることは、
演技を知ることだと思う。(自分でも出来るようになるのが理想)
2014年05月14日
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