2014年05月16日

おはなしの原型2:三幕構成

前からのつづき。

おはなしの本質が事件とオチであり、
その道具が時間と場所と登場人物である、
とすれば、
三幕構成のACT 2の難しさについて、分かるようになる。


原型が事件とオチだとすれば、
これは三幕構成における、
ACT 1とACT 3に相当する。

原型に、ACT 2はなくてもいいのだ。

つまりACT 2とは、引き延ばしである。


ACT 1と3がテーマに直接関わる。
日常から異常事態へのスリップ、
異常事態からの回復や帰還、
そしてこれによって、我々の日常に新たな意味が加わること、
つまり、認識の変化、教訓、新知識、学習などを、
我々はテーマとよぶ。

ACT 2は、異常事態のさなかの、展開部である。
異常事態を知り、楽しむお楽しみポイントでもある。
一気に解決しない事件を、段階的障害突破であり、
一人で解決できない事件を、複数の人間が関わるサブプロットの集合であり、
事件解決をさまたげる「敵」の登場や、そのコンフリクトを描くパートである。

事件とオチというおはなしの本質に、ACT 2は関係ない。
逆に、映画はACT 2を獲得したことで、
ヨタ話から物語芸術になったのではないか。

ACT 2を乗りきるには、
スペシャルワールドという考え方、
伏線という技術、
感情移入という技術、
ストーリーラインや焦点やターニングポイントという技術、
ミッドポイントまわりの技術、
ACT 2で使う要素をACT 1で前振ること、
第一ターニングポイント、第二ターニングポイントという幕切れの技術が、
不可欠なのではないか。

そう考えると、映画脚本の技術とは、
ACT 2を書く技術なのではないだろうか。

これらは、単純で短いおはなしの原型、
事件とオチを、ACT 2で膨らませるための、
長編的方法論なのではないか。


ようやく映画の構造がわかってきた気がする。
おはなしの原型、事件とオチに、
ACT 2を事件とオチの分量ぐらい挟み込んだものが、
映画脚本の構造なのではないか。
事件とオチの創作量と、同じ量の労力がACT 2にかかる。
つまり単純な原型の、倍かかる。
だから難しいのではないだろうか。

なんで映画って大体二時間なんだっけ。
これを調べないと、この話は続けられなさそうだ。
posted by おおおかとしひこ at 09:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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