2014年05月31日

プロット力の鍛え方

まず、白紙を用意する。
ノートは駄目。あとあと並び替えたりするため、
ルーズリーフや、コピー紙+ファイルなどの形式がいい。
(ノートに書いてあとでちぎってもいいが)

そこに、見た映画のプロットを書いてみる。
プロットが何か掴めないなら、あらすじと思ってもいい。
最初からラストまで、必ず書く。
一枚以内に必ずおさめること。400から1500字ぐらいだろう。
手書きを推奨する。これは文章力を鍛えるトレーニングでもある。
手で書くことは考えることで、文字うちは言うことに近い。
あなたは、考えるために手書きでプロットを書く。

なるべく名作がよいが、たまに駄作があるとよい。
名作と駄作はプロットの時点で違うことを、身をもって知るために。

これを、100本ぶんやること。


最低でも30は欲しい。
数稽古は、人間が技能を身につける、一番地味で確実な形だ。
回数こなすことで、自分が変わる。
プロットを取り出す技能がのびる。
プロットをうまく書く技能がのびる。

週一なら2年かかる。土日で1年かかる。毎日なら3カ月だ。
とにかく、ペラ一枚に、名作のプロットを書き続ける。
気に入った台詞を書いたり、いいと思ったところを赤で囲んでも構わない。
脚本と関係ない、いい部分を脇に書いてもよい。
重要なのは、プロットを1枚以内にまとめることである。

見るべき映画は、信頼できる人の100選がよい。
商業的な100本でなく、脚本的に出来のよいものに限るので、
売り上げやツタヤレコメンドは無視すべきだ。
僕のオールタイムベストはお勧めのひとつだ。
尾崎将也氏のブログにお勧め100本があるので、丁度いいかも知れない。
慣れてきたら、過去の名作だけでなく、
現在ヒット中の映画についてもアップデートしていくべきだ。


100本もやると、
プロットで名作かどうか分かるようになる。
少なくとも、面白い話をペラ一枚で書いたものが沢山たまる。
面白い話になっていないのは問題だ。
あなたの文章力か、名作のチョイスに問題がある。
くそ映画ばかり見ていては意味がない。
わざとくそ映画を見て名作と何が違うのかを知るのは、とてもいいことだが。


さて、この100本を、並び替える。
出来のよい順に並べてみよう。
深い順に、わくわくする順に、泣いた順に、笑った順に並べてみよう。
(トップ10を選ぶだけでもよい)
その他、何かの基準順に並び替えることはとてもよい。
男の好きな順、女の好きな順、ビックリした順、完成度の高い順、
興行成績順、知名度順、ツタヤで見つかりやすい順、などでもよい。
それと、最初に並べた「出来のよい順」と、何が違うのかを、
自分の言葉で分析しよう。


さて、プロットを書いてみよう。あなたが書こうとする新作の。
何本書いてもいい。
いつ書いても、書きためてもいい。
名作100本プロットと比べ、どの位置に入るか、予測しよう。


この100本プロットは、あなたの財産になる。
今後、あらゆる分析をすることができる。
例えば、
テーマを全て書き出し、テーマとプロットとの関係をさぐる。
二幕で何が起こるのか、100のバリエーションを研究出来る。
感情移入はどこで起こるか、研究できる。
どんでん返しはどこで、どういう仕組みで起こるか、研究できる。
あるプロットを変形してみて、別の話になるか考えられる。
あるいは、「ある話をこう変形すると、別の映画のプロットにそのままなる」ことなどを、発見出来る。

かつて僕はこれを200本ぐらいやったが、
上映中のものだけで、過去の名作についてやっていなかったことを悔やんでいる。


映画は、見たあと消えてしまう。
だから、消えないように紙に残す。
ペラ一枚なのがポイントだ。プロットの研究はこの規模でやるとよい。
なにより、100本の名作を見るチャンスでもある。
100本のプロットに触れる経験でもある。
チョイスは慎重に。
posted by おおおかとしひこ at 20:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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