2014年06月09日

初心者講座19:プロット総まとめ

これを書けば、映画のプロットとして完璧だろう、
と思われるものをまとめてみる。

プロットとは何か?
と思ったら、以下を思い浮かべるといい。
これに達していないのは、プロットとして不完全だ。
(不完全なプロットでも、執筆段階で化けることは、まれによくある)



・まず一行目に、感情が書いてある。
 それは、見終えた後に残る、主な感情だ。
 これを残せれば、おおむね「面白い話」だと思ってよい。

・ざっくり言うと、「事件が起こり、それを主人公が解決する話」が書いてある。
・それは、異常事態で、危険があるのがいい。
・それは、三人称視点が前提で、一人称視点のお話ではない。
 (話者の主観や判断や推測が入ってはならない。客観的事象のみで語ること)

・すべての文は、書いていなくても、「だから」「それゆえ」でつながっている。
 それはすべてが因果関係で結ばれているということだ。
・例外は、「ところが」の逆接。これはターニングポイントである。
・すべての文は、ある焦点を追っている。
 明示しなくとも、「今気にしなければいけないこと」が焦点だ。
 これがなんらかの理由(一時的解決、逆に話がややこしくなるなど)で、
 「今」気にしなければいけないことが変わるポイントを、ターニングポイントという。

・その事件にまつわる登場人物は、複数である。一人では映画にならない。
・その人々は、事情や目的や動機や立場が主人公と必ず異なる。
 したがって、主人公や他の人と、もめる。これをコンフリクトという。
 映画とは、コンフリクトの解消と、主人公の事件解決までのお話だ。
・主人公や、その他の人物について、複数のストーリーラインが走ることはよくある。
 それぞれに、複数の焦点があることも多い。
 つまり、映画とは、複数の人物、複数のストーリーライン、複数の焦点、
 複数のコンフリクトの同時進行だ。

・主人公が、事件の最終解決を担う。三人称視点では、もっとも目立つ人物=主人公だからだ。
・のちのち残る話なら、なんらかのテーマが物語にはある。
・それは、「主人公の解決の仕方」で暗示されるものだ。
・それは、「真実とは限らないが、真実かもしれないこと」であると面白い。
・ハッピーエンドなら、逆のバッドスタートである。つまり、最初は
 「真実であってほしくない状態」からはじまる。

・三幕構成になっている。120分なら、それは30:60:30のリズムだ。
 プロットは、それを想定して書かれている。文字数が比例しているのが理想。
・それぞれの幕切れの大ターニングポイント、すなわち、
 第一(大)ターニングポイント、第二(大)ターニングポイントでは、
 センタークエスチョンが具体的な焦点になる。
 第二幕は、直前の第一ターニングポイントで示された焦点を解決する60分、
 第三幕は、直前の第二ターニングポイントで示された焦点を解決する30分だ。

・第一幕では、
 「事件が起こり」「主人公が事件にのりだす」ことがどこかであること。
・第二幕では、
 コンフリクト、もめごとが主に起こる。
・第三幕では、
 主人公が事件を解決し、その解決の仕方がテーマのかわりであること。
 がそれぞれ必要だ。

・パクリは、オリジナルではない。


とても全部の条件を満たしたものを書くのは無理だよ!
初心者からレベル高すぎだよ!
そりゃしょうがない。
映画ってのは、簡単でレベルの低いものじゃない。
人生を捧げる深い価値のあるものだ。
その奥義の解説が簡単な訳ないじゃないか。

ある程度マスターするには、
身長分原稿用紙を潰さなきゃものにならない、
って言われる世界なんだ。
先は長い。ほんとうに長い。
それに必要なことを、全部書いたつもりだ。


でも、一番本質の奥義は、
多分キミが最初に映画からもらってる筈だよ。
初めて映画を見たときの、
初めて名作を見たときの、
あのワクワク、あの感動、あの深さ、あの高揚。
それと同じようなものをつくること。
それが、面白い話をつくるってことなんだよ。



プロットを書けるだけじゃ、プロットライターだね。
脚本をフィニッシュするには、
脚本を書けなくちゃいけない。
次回から、執筆編に突入だ!
posted by おおおかとしひこ at 19:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック