物語のエンジン、コンフリクトを「もめごと」と考えると、
もめごとの解決には、いくつかのパターンがある。
1 もめごとの原因となる悪い奴を取り除く(殺すまたは追放、ハリウッド的)
2 もめごとの原因となる悪い奴を改心させる(日本的)
3 もめごとを起こす原因を、みんなの協力で解決(ドラマによくある)
4 もめごとを起こす原因を、第三者機関に委託(ウルトラマンの構造)
5 もめごとは、公的機関では扱えないケースを闇の機関が裁く(必殺仕事人的ヒーロー)
6 もめごとを起こした本人が自力解決
7 もめごとは、実は相手を思ってのことだった
8 もめごと自体大きすぎるので、別件逮捕にする
9 もめごと自体大きすぎるので、そこから脱出する
10 そのもめごとには、意外な真犯人が
11 もめごとの濡れ衣を晴らす
12 もめごとを解決するには、○○時までに△△をしなければならない(自分が使者になる)
13 もめごとは、その社会の王になることでコントロール出来てしまう(スポーツものはこの代理戦争)
14 別のもめごとを解決することが、真のもめごとを解決することだった
などなどだ。
思いつくまま、様々なパターンを書いてみた。
あなたがもし、いくつかのパターンしか書いたことがないなら、
やったことのないパターンについて試してみるのもいいことだ。
その解決に至るもめごとを、先に考えたほうがいいかも知れない。
もめごとをどう解決するのか?
が物語のセンタークエスチョンである。
一幕、二幕の幕切れでは、それが具体的指標になる、
ということは既に書いた。(第一、第二ターニングポイント)
主人公がこれを解決しなければならない。
それが実に手際よくやるのか、
たどたどしくやるのかは、主人公による。
しかしその解決の仕方(B)こそが、テーマ(A)を意味する。
異物論は、そのもめごとを、絵で表せるような異物との出会いにすべき、
という方法論だ。
異物がそのもめごと(の端緒)の象徴になるようにせよ、
という考えだ。
もめごとは、小説やドキュメンタリーでは、
絵で表す必要はないかも知れない。
しかし映画では、絵で示してそれが問題の象徴になるとよい。
しかも、主人公が問題の解決をする動機に、
観客が感情移入するように書くと、主人公の焦点と観客の焦点が一致する。
感情移入の項でも議論したように、
それは主人公を物語開始当初に、好きかどうかとは関係ない。
(最終的に好きになることはよくある。
それは、物語の途中で、主人公とともに、
大きく感情が揺さぶられることが何回もあるからだ。
吊り橋効果を知っている人は、理解しやすいかも)
主人公が問題解決に乗り出すその第一歩に、興味を持たせることが出来さえすれば、
最初の焦点の一致(=感情移入)は成功だ。
あとは主人公の感情が観客の感情になるように、
新しい状況に会わせてゆけばいい。
(ちなみに、主人公が常識以外の行動をすると、
この焦点の一致は外れてしまう。どうして主人公がこの行動をするのか、分からない、
というパターンだ。外しといて戻す、という高度なテクニックの時以外は、
あなたの書き方は常識的でないことを自覚したほうがよい)
物語は、一人では成立しない。
複数の間のもめごとこそが、物語である。
それを主人公がどう解決していくかが、
物語の骨格だ。
つまりそれは、どういうゴールを目指すか、
ということでもある。
上の14のパターンは、組み合わせることも出来る。
「最初善人だと思っていた人が真犯人とわかり、
彼の悪行を世間に晒し、辞職させる」なんて話は6→1だ。
最終的に8を選ぶかも知れない。
上に挙げたものは解決のパターンであるが、
闇に葬られる、部分的に解決しても真の解決ではない、
などのバッドエンドやビターエンドも有り得る。
あなたのもめごとは、どう解決するのか。
それを決めない限り、もめごとのはじまりや途中を考えるのは難しい。
もめごとを先に思いついて、それを書きながら解決することを考えるのは、
大抵最後まで上手く書けないか、無理のある解決を書きがち。
現実の問題対処を数多くこなした経験があれば、
アドリブでなんとか架空の問題をリアルにクリア出来るかも知れないが。
まずはこの14のパターンの、どれを書こうとしているのか、
決めてみるのはどうだろう。
2014年06月15日
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