三人称形式というのは、いつでもステージで出来るものである。
一人称形式はステージで出来ない。
(独白やナレーションを使えば出来ないこともないが、
それがメインになってしまう)
小説や漫画は一人で読むものだから一人称形式でも構わないが、
映画はステージで見るものだ。(DVD鑑賞は邪道としよう)
満場の観客が待っているステージを、いつも想像せよ。
あなたはそこに、台本一冊もって出て行くのだ。
演目は「面白いおはなし」である。
びびってはいけない。呑まれてもいけない。
あなたの思い込みで、観客をおいてけぼりにしてはいけない。
滑ってもいけない。途中でステージを降りることも許されない。
観客を楽しませ、唸らせ、泣かせ、爆笑させ、
最後には拍手喝采を受けるだけの、「面白い話」をしなければならない。
ステージ側から観客を見るのは、いい経験だ。
名作映画や名ステージを見ることがあれば、
ステージ側から観客を二時間眺めるような席を、支配人に交渉してみるのも悪くない。
そうでなければ、スクリーン右袖などにこっそり座るのもいいだろう。
演劇などの生ステージは、観客の顔が見えているからアドリブで調整できるが、
映画の台本はそうはいかないことを覚悟しよう。
大勢の観客が総体としてどう反応するか、その想像をすることは、
観客を見たこともなければ出来ないだろう。
いつ、
ばらばらな所からやってきて、ばらばらな目的を持って集まってきた観客が、
ざわざわした中から静かになるか、
いつ、静かになった観客が、物語の中に入っていくか。
いつ、物語の中に入った観客が、一体となって同じ感情を共有するか、
いつ、観客は飽きてくるか。
脚本を書きながら、ステージ側からの視線を意識出来れば、一人前だ。
2014年06月19日
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