ストーリーがある、とは何で、
ストーリーがない、とはどういうことか。
僕は、変化があることだと思う。
ただの自然変化ではなく、理由のある変化のことだと思う。
初期設定がある。
そこから、何かひとつでも変われば、それが変化だ。
変化にもっともな理由があれば、それはストーリーである。
人間関係が変化すれば、それはストーリーだ。
喧嘩した、別れた、仲良くなった、結婚した、
などが、自然に、ではなく理由があれば、それはストーリーだ。
ストーリーとは理由のある何かの変化を描くのだ。
場所が変化してもストーリーだ。
移動、旅、今いる場所の変化、それに理由があれば、それはストーリーだ。
人の内面の変化もストーリーだ。
機嫌が変わったのではなく、
ある理由から人生観や考え方や発想やキャラが変われば、
それはストーリーだ。
面白いかどうかは、ここでは議論の範囲に入れない。
変化がないものは、ストーリーではない。
場所も、人間関係も、人の内面も何も変わらなければ、
それはストーリーではなく「変わらぬ日常」である。
(いわゆるSSと言われる二次創作は、この範囲を描くことが多い)
変化を描くには、
変化する前(初期設定)を描き、
変化への理由と、変化の過程を描き、
変化し終わったあとを描くとよい。
(ざっくりと三幕構成に対応している)
変化は、不可逆変化がよい。
可逆であると、もとに戻ることが出来てしまい、
「変わらぬ日常」のジャンルに戻ってしまう。
もしあなたの書いたもの、
誰かの書いたものが、
何も初期設定と変わらないものならば、
それは「ストーリーがない」と断言してよいだろう。
変化を描くのが目的ではない。
色々あった結果、初期設定が結果的に変化しただけだ。
変化は結果でしかない。
例えば、
野球の練習試合は、どんなに克明に書こうがストーリーではない。
試合前と後で、初期設定は変わらないからだ。
怪我をしたとか、出来ないことが出来るようになったとか、
試合をすることでチームの仲に変化があったとか、
この試合のせいで甲子園をのがしたとか、
「理由のある不可逆な変化」があれば、
そこにはストーリーがある。(面白いかどうかは、また別の話)
朝起きて夜寝るまでは、ストーリーではない。
大家ともめて出ていくことになったとか、
会社を辞めたとか、
変化があれば、そこにはストーリーがある。
恋人同士のおしゃべりは、ストーリーではない。
序盤、展開、オチがあったとしてもだ。
おしゃべりの結果、恋人たちの人間関係が、
理由のある変化を遂げたときのみ、
(別れるとか浮気が発覚するとか)
そこにはストーリーがある。
初期設定、つまり「○○に住むラブラブの恋人」が変化しない限り、
そこにはストーリーはない。
この初期設定なら、○○、住む、ラブラブ、恋人、どれかの要素が変化する。
(恋人の理不尽な死は、ストーリーではない。
理由のある死は、ストーリーだ。
シュールというジャンルは、理不尽を描くジャンルだが、
理由のある変化が描けないと、理由のない変化を描くのは上手くならない)
変わったことはないか、という質問は、
何かの変化はないか、という問いであり、
何かストーリーはないか、という問いである。
初心者は、ストーリーをうまく書けない。
まず、初期設定の何が変化するかを、考えているだろうか。
あるいは変化を先につくっておいて、
それに相応しい初期設定を考えているだろうか。
2014年06月29日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック