2014年06月29日

ストーリーとは何か

ストーリーがある、とは何で、
ストーリーがない、とはどういうことか。

僕は、変化があることだと思う。
ただの自然変化ではなく、理由のある変化のことだと思う。


初期設定がある。
そこから、何かひとつでも変われば、それが変化だ。
変化にもっともな理由があれば、それはストーリーである。

人間関係が変化すれば、それはストーリーだ。
喧嘩した、別れた、仲良くなった、結婚した、
などが、自然に、ではなく理由があれば、それはストーリーだ。
ストーリーとは理由のある何かの変化を描くのだ。

場所が変化してもストーリーだ。
移動、旅、今いる場所の変化、それに理由があれば、それはストーリーだ。

人の内面の変化もストーリーだ。
機嫌が変わったのではなく、
ある理由から人生観や考え方や発想やキャラが変われば、
それはストーリーだ。

面白いかどうかは、ここでは議論の範囲に入れない。

変化がないものは、ストーリーではない。
場所も、人間関係も、人の内面も何も変わらなければ、
それはストーリーではなく「変わらぬ日常」である。
(いわゆるSSと言われる二次創作は、この範囲を描くことが多い)

変化を描くには、
変化する前(初期設定)を描き、
変化への理由と、変化の過程を描き、
変化し終わったあとを描くとよい。
(ざっくりと三幕構成に対応している)

変化は、不可逆変化がよい。
可逆であると、もとに戻ることが出来てしまい、
「変わらぬ日常」のジャンルに戻ってしまう。


もしあなたの書いたもの、
誰かの書いたものが、
何も初期設定と変わらないものならば、
それは「ストーリーがない」と断言してよいだろう。

変化を描くのが目的ではない。
色々あった結果、初期設定が結果的に変化しただけだ。
変化は結果でしかない。


例えば、
野球の練習試合は、どんなに克明に書こうがストーリーではない。
試合前と後で、初期設定は変わらないからだ。

怪我をしたとか、出来ないことが出来るようになったとか、
試合をすることでチームの仲に変化があったとか、
この試合のせいで甲子園をのがしたとか、
「理由のある不可逆な変化」があれば、
そこにはストーリーがある。(面白いかどうかは、また別の話)

朝起きて夜寝るまでは、ストーリーではない。
大家ともめて出ていくことになったとか、
会社を辞めたとか、
変化があれば、そこにはストーリーがある。

恋人同士のおしゃべりは、ストーリーではない。
序盤、展開、オチがあったとしてもだ。
おしゃべりの結果、恋人たちの人間関係が、
理由のある変化を遂げたときのみ、
(別れるとか浮気が発覚するとか)
そこにはストーリーがある。
初期設定、つまり「○○に住むラブラブの恋人」が変化しない限り、
そこにはストーリーはない。
この初期設定なら、○○、住む、ラブラブ、恋人、どれかの要素が変化する。
(恋人の理不尽な死は、ストーリーではない。
理由のある死は、ストーリーだ。
シュールというジャンルは、理不尽を描くジャンルだが、
理由のある変化が描けないと、理由のない変化を描くのは上手くならない)


変わったことはないか、という質問は、
何かの変化はないか、という問いであり、
何かストーリーはないか、という問いである。

初心者は、ストーリーをうまく書けない。
まず、初期設定の何が変化するかを、考えているだろうか。
あるいは変化を先につくっておいて、
それに相応しい初期設定を考えているだろうか。
posted by おおおかとしひこ at 00:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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