短編における、序破急の「2:2:1理論」を確認する為にも、
これを公開しておこう。
某ビール会社の、ドラマ型企業広告である。
東京ガスCMのような長尺ドラマで、ビール(または企業)の価値を描きたい、
という思いに答えて書いたものだ。
残念ながらプレゼンでは採択されなかったため、永久に破棄である。
公開して後進に寄与したい。企業名は伏せることとする。
基本的には、苦みを知っている、大人のドラマを描く方針だ。
たった一滴の乾杯.pdf
再会.pdf
師匠.pdf
延長戦1ボクサー.pdf
延長戦2会社員.pdf
ライバル.pdf
5分の「たった一滴の乾杯」が、ちょうど2:2:1の序破急構造になっている。
(1ページ:1ページ:1/2ページ。原稿用紙相当で、2枚:2枚:1枚)
3分になると、1:1:1ぐらいのバランスになっているかも知れない。
1分はオチにかけないとしんどいタイプのドラマだからか。
すとんと落ちる、なるほど系のシナリオなら、2:2:1になるかもだ。
どれも、三幕構成をつくっている尺の余裕はない。
ひとつのターニングポイントが、幕をつないでいる構造ではない。
幕切れのターニングポイントに1分や30秒をかけている、
尺の余裕がないからだ。
むしろ、序の状況、破の状況という、
対になる状態を描き、
それを急がまとめる、
という序破急構造になっていると思う。
それぞれの序破急構造を示そう。
「たった一滴の乾杯」
序:父が倒れ甘党に変わった
破:結婚が決まって甘党をやめた
(ターニングポイント:まんじゅうをひっくり返す)
急:たった一滴の乾杯がうれしい
「再会」
序:彼と仕事上でたくさん話す
(ターニングポイント:飲み会で二人になってしまう)
破:プライベートを話し、まだ独り身であることを知る
(ターニングポイント:「冗談」を言ってみる)
急:やはり戻れないことを知る
「師匠」
序:師匠と男の関係
破:それが「おだやかな」ものになってしまった
(ターニングポイント:一人帰ってくる)
急:それを取り戻す
「延長戦1」
序:駄目ボクサーの日常
破:延長戦はない
(ターニングポイント:キャバ嬢に「明日がある」と思わず言う)
急:引退はしない
「延長戦2」
序:彼氏に街で待ってもらう
破:家で待ってることへシフト
急:朝まで延長
「ライバル」
序:少年たちが野球よりゲームに取られている
(ターニングポイント:次の試合の知らせ)
破:甲子園のライバルと草野球で再会することに
(ターニングポイント:三塁上で再会)
急:彼は野球ゲームをつくっていた
それぞれを明確なターニングポイントで転換している場合もあるし、
単なる時間経過で接続しているものもある。
序と破を対比させるにあたって、
間に明確なターニングポイントを置かないのが、僕の癖のようだ。
(むしろ序で大事件をおこし、破でそれを理解していくというパターンっぽい。
例外は「ライバル」ぐらいか)
対比された相克する二つの状況を、
行動というターニングポイントで急へ持っていくのが、
どうも僕は好きらしい。
これらは、序破急の基本構造と、
三幕構成のいいとこどりのような構造になっている。
真似しても良いし、別の構成でやっても構わない。
2014年07月22日
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