極端に言ってみる。
映画の構造を大きく抽出せよ、といったとき、
大きな決断をポイントに考えるとよい。
主人公が陥った状況で、どうすべきか決断しなければならないときがある。
相手の決断で、こちらの人生に影響することがある。
ぼさぼさしてたら死ぬから、今すぐやらなきゃいけないことを決断する必要がある。
決断を知られないようにする決断もある。
決断を知らないがゆえの決断という悲劇もある。
決断は、自分の腹を決めることだ。
自分の動機を見直してゴールを決めることだ。
それまでの状況をなるべく明らかにし、
分かっている範囲で情報を整理し、
リスクとリターンと本来やりたいこと(目的、動機)を明らかにし、
関わる人たちの立場や利益や損害を考えに入れ、
それに責任を負うことである。
失敗すれば自分の責任であり、
決断したからには実行を伴わなくてはならない。
映画の中で、主人公が何回決断するだろう。
チームを率いるリーダーなのか、一人なのか、周りとの関係でも決まるだろう。
映画の中で、敵や他の登場人物は、何回決断するだろう。
主人公と同じぐらいそれは、
各々の事情や個性や責任が現れるはずだ。
決断はターニングポイントだ。
しかも、おそらく最も強力なターニングポイントだ。
戦うこと、捨てること、立場を表明すること、選択肢から選ぶこと。
それは未来の自分を決めることだ。
決断を元に、ストーリーの構造を把握してみることをやってみてはどうか。
それが観客に明らかになっていることで、
その人物とともに冒険をすることが出来る。
実写「風魔の小次郎」を例に取ろう。
小次郎は、
白凰学院に仕事をしに来る、
姫子のために頑張ることにする、
周囲の制止を振り切り勝手な行動をする、
忍びに禁じられている墓をつくり弔う行為をする、
鍛えようと思う、
伝説の風林火山を使いこなそうと思う、
胸のうちを告白する、
姫子を助け、戦いを終わらせる、
武蔵のサイキックを斬る、
姫子と笑顔で別れる、
などの重要な決断をしている。
飛鳥武蔵は、
入院費のために自分を高く売る、
夜叉に入る、
風魔の存在を脅威に感じ、赤星の矢を射る、
忍の掟を遵守し、一対一を守る(←ここちょっと弱い)、
力の解放を決断する(←ここちょっと遅い)、
忍びから足を洗う、
などの重要な決断をしている。
壬生攻介は、
常に戦いの先頭に立ち特攻隊長になる、
怪我をおし小次郎と再戦、
黄金剣を盗みだし出奔、
裏切者黒獅子を斬る、
小次郎に再々戦を挑む、
黄金剣を使いこなす修行をする、
陽炎とともに夜叉を建て直そうとする、
夜叉姫を助ける、
武蔵にあとを託す、
などの重要な決断をしている。
姫子は、
風魔に助けを求める、
(何回か直接助っ人を頼む)、
殺し合いになるのなら辞めるべきと小次郎に頼む、
主君として責任をとろうと、夜叉姫と話し合おうとする、
強い善人であろうと思い、総長になる覚悟をする、
などの重要な決断をしている。
夜叉姫は、
司令官を武蔵にする、
黄金剣を武蔵へ渡そうとする、
壬生抹殺指令を出す、
司令官を陽炎にする、
などの重要な決断をしている。
竜魔は、
赤星の矢を見て風魔衆を白凰へ集め、長兄としてリーダーをつとめる、
小次郎を後方に回す、
霧風の反対をおさえ、小次郎を現場に残す、
掟で戦い方を一対一にする、
(ちょいちょいサイキックを使う)、
蘭子の告白を断る、
小次郎を一人前と認める、
などの重要な決断をしている。
陽炎は、
壬生に負けたふりをするなどして媚を売る、
武蔵を追い出そうとする、
壬生に黄金剣を盗ませる、
死んだふりをし出奔、
壬生とともに新秩序を描こうとする、
夜叉姫を殺そうとする、
絵里奈を人質に取ろうとする、
などの重要な決断をしている。
これらの糸の絡み合いが、風魔という大河物語の構成だ。
各話のゲストやサブキャラの小さな決断もあるが、
主なものを書き出してみた。
こうしてみると、前半部に決断が少なく、
後半部に決断が集中していることが俯瞰できる。
後半の怒濤の展開の面白さは、このようなことでもあるのだ。
前半はギャグ多め、後半はストーリー多めのバランスは、
これらからも読み取れる。(後半の面白さをもう少し前倒し出来ていれば…)
それぞれの意図や決断やその結果が影響し合い、
同時進行し、層になって重なりあい、
時に成功したり失敗するのが物語だ。
プロットや骨格を考えるとき、「決断」を節に考えるのは、
動的進行を考える上で役に立つかも知れない。
2014年08月09日
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