ゴジラと同じく、人間のドラマ。
剣心にいつまで経っても感情移入出来ない。
凄い男を描いて感情移入させるには、
弱点をつくることだ。
薫がそれになっているような意図だが、
抱きしめるだけの表現でそれを表現しきれているとは言いがたい。
(以下ネタバレこみ)
前作は基本忘れていると思って、
薫との印象的なドタバタの面白い日常を描き、
それが戦乱で失われてはならぬ平和なのだと、剣心に痛感させるべきだ。
たとえば、のちに平和の象徴として使われる小道具の、
風車を前ふりするべきだ。
お祭りが近いから、と薫が風車の作り方を教えて、
剣心が不器用でつくれなくて、みたいなごく普通のコメディでよい。
人を切ることとものをつくることを対比させておくのだ。
現状のシナリオでは、青空の赤子が戦乱と逆の平和の象徴になっていて、
薫不要になってしまっている。
キャストごり押しで嫌になるのも分かるが、
薫に感情移入させるエピソードが欲しい。
でなければ薫は京都に来る必要はなかったはずだ。
剣心が惚れ込んでいる活人剣の正体もひとつ欲しい。
「身心を鍛える手段としての剣」は、
現代に至り、殆どの武術は単なる体操と同じ、
と揶揄されて反論する術を持たない。
それに反論しうるものを、薫が主張すべきだ。
薫の弟子が剣心にえげつない殺人剣を教えてください、
というのを断るのはいいが、
実際の殺陣で使われていたものは、
殺人剣でもなんでもない、ただの外道アクションだった。
(全体的に言えることだが、棒で触るだけの殺陣で、
キメの切るとこだけ引き切りで、段取りくさいものだった。
様式美というべきかどうか)
あと、蒼紫は不要だと思う。
京都での翁戦はすさまじく良かったが、
それなくても話はすすむよね。
あのアクションがないと、京都大火と銘打っておきながら、
肩透かしだったことの言い訳がなくなるのは分かるが。
何のために蒼紫がいたのか、全く不明だ。
主筋に絡むべきだろう。
せめて佐之助と再戦するとか、戦艦に絡ませるとか、
京都はフェイクだということに絡むとか。
全部切れば、話は実に分かりやすくなる。
志々雄一派と剣心との主軸に、忍びが絡む話になる。
その主軸が感情移入出来る話になっていないのが問題だ。
実は、僕は漫画版がいまいち好きではない。
剣心に感情移入出来なかった。
あのヘンテコなしゃべりが抜刀斎を押し込める方法、
という解釈が、今回のハイライトだとすら思った。
二重人格ものにもっと深入りすれば、
人間の業を描ける題材になるかも知れない。
2014年08月11日
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