会社で「下手なシナリオ」を見たので、記録しておく。
オペラを観劇する男。演目は「トゥーランドット」。
小説ならどこも不思議のないこの文章も、
ト書きとして見るなら下手くそ極まりない。
観劇の場面がトゥーランドット全部を見るのでない限り、
まずはどの場面かを指定する必要がある。
トゥーランドットという説明を入れないのなら、
その見ている場面が、一発でトゥーランドットと分かる場面にするべきである。
僕はオペラに詳しくないし、多くの人もオペラに詳しくないから、
せいぜいイナバウアーでかかった曲をおぼろげに覚えているだけだ。
それがどこでかかるのかも知らないし、
それがこの劇の代表的な重要な場面かも分からない。
一応どの場面を使うかを決めた上で、
演目がトゥーランドットであることを、どこかで前ふりするべきである。
(トゥーランドットであることが話の上でどちらでもよいのなら、
その必要はない)
トゥーランドットを今度見に行くんだ、と誰かに言ってもいいし、
劇場の看板にトゥーランドットと書いてあってもいい。
或いは字幕で「トゥーランドット第二幕第三場」などと入れるのもよくある。
にしても、シナリオ上は、
オペラを観劇する男。演目は「トゥーランドット」。
二幕三場の、王女が何者かに囲まれ、魔法をかけられるシーン。
有名な「誰も寝てはならぬ」が歌われる。
などのように書くべきだ。(※二行目は調べもせず適当に書いてます)
もし演目がストーリーに関係ないなら、
オペラを観劇する男。
の一行で十分である。
実製作のときに、演目と場面を決めればいい。
(風魔の6話、シンクロの試合中にかかる音楽は、シナリオ中では明示されていない。
それは、ストーリー進行に関係がないからだ。
もし曲が「誰も寝てはならぬ」で、寝るかどうかがストーリー進行に重要なら、
それは意味があるからシナリオ中で指定されるだろう。
組曲「木星」を監督として僕が指定したのは、
フリー音源、即ち使用料無料のもののなかで、メジャーなものを見つけたからだ。
金がない風魔ならではだ!)
映像表現では、そのオペラの芝居を指定する必要がある。
どの場面のどの瞬間を使うかをだ。
その数の役者、衣装、音楽、導線などを用意しなければならない。
シナリオはその用意するリストを指定する役割をする。
一方、小説では概念だけを示せば、
あとは勝手に読者が補完してくれる。
シナリオ形式は、小説形式より、難しい。
小説形式で最初書いたほうが、楽かもしれない。
逆に小説とは、その概念を自在に操るさまを味わう芸術かも知れない。
2014年08月21日
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