2014年08月22日

脚本を書くのに必要な能力

作劇力。
キャラ造型力。
台詞力。
リズム感。
リライト力。
客観性。

の6つ、としてみるとしよう。


作劇力。

新しいお話をつくる力。
興味深い事件を創作し、興味深い解決の展開をつくり、
興味深い結末をつくれる力。
様々なストーリーラインの絡み合いや、
スリリングな展開や、
どんでん返しが出来る力。
複雑な状況を同時進行させたり、
複数の人の内面についてもコントロールできる力。
また、人間の内面に深く切り込み、
それらの話と巧みに混ぜ、人の変化を外的物語で表現する、
創作の出来る力。
そしてそれが、新しいテーマを語るような、新しい名作を生み出す力。

物語の構造への広くて深い知識、
古今東西の名作への広くて深い知識、
人間や社会への広くて深い知識、
新奇な世界のことへの広い興味や知識、
などがベースに必要だと思う。


キャラ造型力。

面白いキャラクターを創作する力。
面白いキャラクターの組み合わせを創作する力。
ストーリーだけでも、キャラクターだけでも、
物語は面白くない。
とくに脚本に必要なのは、外見のデザインではなく、
内面のデザインだ。
主義や哲学、信条、好み、性格、外面と真の姿の違い、過去、秘密、美学、性癖、
リアクションや行動の様式、予測のつかないことへの反応、
などなど、人間への深い理解に基づき、
リアリティー溢れる、魅力的な人間像をつくれる力。

それらがどう違い、どう組合わさるかを考える力。


台詞力。

キャラ造型力には含まず、独立させた。
台詞が魅力的でなければ、
それはただの無味乾燥な記録映画だ。
ヒリヒリするリアリティーや、魅力的な内面の吐露や、
詩的な思いや、ズバリとした物言いなど、
台詞の進行は映画の華である。
脚本の半分以上、モノによっては9割は台詞が占める。
これに魅力のない脚本は、大抵詰まらない。


リズム感。

小説や漫画など、リアルタイム時間で流れないものには不要かも知れない。
言葉のリズムや画面のリズムが、
リアルタイム時間で進むものの魅力のひとつになるのは当然だ。

また、「意味のリズム」は非常に大事だ。
物事をどう認識させていくと分かりやすいかは、
意味のリズムがとても良いものだ。
リズムがいいものは、心地よさを生む。

脚本が1ページ1分という形式で書かれることには、意味がある。
全体をどのようなリズムで書くかが、問われているのだ。


リライト力。

構成を入れ換えたり、本質を入れ換えたり出来る力。
パズルに僕はたとえることもある。
本質を失うことなくディテールをまるで変えたり、
ディテールは大して変わっていないのに、本質がまるで変わるように、
書き換えようと思い、その通りに書き換えられる力。
今現状のものの本質やディテールを、きちんと見定める力も重要だ。

リライトで最も難しいのは、
「いまいちなものを良くすること」だ。(そして最も多い)
大抵、代わり映えのないリライトしかできない。
悪くなっていくことすらある。
どう良くないのか、良いとはどういうことか、
それはどう直せばよいのか、全てが的確でない限り、
リライトはうまくいかない。
それを、自覚的に実行できる力。


客観性。

なるべく多くの立場に立てる力。
各キャラクターの立場。
観客の立場。老若男女の立場。
スタッフの立場。
同じジャンルのほかの映画の立場。
古今東西の映画の立場。
他の物語ジャンルの立場。
他の芸術の立場。
他の娯楽の立場。
他の国や人種や文化の立場。



これらは基礎能力だ。ある程度鍛えることは出来る。
これに属さない、鍛えられないたったひとつの力がある。
独創性だ。
天才は独創性があるから、ときにこれらの基礎能力がなくても名作を生む。
どんなに基礎能力があっても、独創性がなければ名作は生まれない。
しかし、真の名作は、基礎能力のしっかりした土台に、
独創性の花が咲いたものだと思う。

自らの力をチェックせよ。
長所短所を把握し、長所を伸ばし、短所を鍛えよ。
posted by おおおかとしひこ at 15:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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