2014年09月12日

論理とプロット、感情と執筆

これまでの話を総合すると、
以下のような書き方が、
効率的、合理的ではないだろうか。


まず、プロットを論理で書く。

なぜその事件が起こったのか、
なぜその行動を取るのか、
なぜその選択肢は選ばないのか、
その結果何が起こるか、
何が決定的理由か、
そしてそれはどうすることが解決で、
解決できたのは何故か。

これらの問いにきちんと答えられるような、
理屈をつくっておく。

全ての登場人物の行動原理は、
立場から来る、あるいは個人的な理由の上での、
殆どは理性的な行動だ。(感情がそれを破ることもある)
その人特有の理屈の場合もあるが、
殆どは、「その立場なら誰もがそうするだろう」というレベルの、
ごく普通の判断で動く。

その、複数の人物の行動と結果の絡み合いが、
ストーリーラインを生み、プロット全体を形成する。

これは理屈だから、誰もが納得する理由がなければならない。
疑問に思う部分があったら、いくらでも答えるべきだし、
必要なら作中に分かるように入れるべきだ。

腑に落ちた、とか、わかった!というストーリーの部分、
をつくることが、ここのパートの役目だ。

感情的な部分は排しておく。
勿論キャラが生き生きし、行動の理由が強い感情であることや、
強い執着などは、プロットの上でも重要だが、
その時の感情は、まだあなたの感情ではなく、
他人の感情ぐらいの距離感を保つべきである。
キャラにあなたが感情移入してはならない。
キャラを好きになっても駄目だ。

あくまでこの段階では、お話の理屈を組み立てるのだ。


理屈は、いくらでもリライト可能である。

こういう理由で行動した、を、ああいう理由で、
にするには、そこに障害があったから、
とか、実はこういう事情があっあから、
などに変更することは難しくない。

人の行動や事件の解決法が、理屈ですすむ限り、
それらの理屈のディテールを微調整すれば済むことだ。


それが、矛盾がなく、
スッキリする話になったら、プロット段階の終了だ。



ここからは、感情の出番である。

登場人物の感情をつけ加えていく。
理屈ではこうだが感情ではこうだ、
などもつけ加えてよい。
(あくまでプロットを崩さないように。
プロットを強い感情が崩すのなら、
矛盾が生まれないようにプロットに戻ること)

全ての理屈を、登場人物の感情に置き換えていく。
たとえ論理的合理的理由の行動だとしても、
それをその人物がどういう感情でとらえているかをつくっていく。

人間の心は、感情だ。
論理くそ食らえだ。
論理的に動くやつは、冷たいやつやずるいやつだ。
その一般的な感情を持って考えればよい。
ときに論理的なことが一番であることも、
大人なら知っている筈だし。

その感情を、単なる他人の感情なのではなく、
切実さを足そう。
他人がそう思うのではなく、
あなたがそう思うように。

完全に他人の立場、論理だったものに、
ここでようやく魂が入るのだ。
彼(または彼女)が傷つけられたのは、
いつ、どこか。
そのリアルな感情を足していく。
その為に設定を追加してもいい。
(プロットと矛盾するなら、矛盾しないような設定に変更するか、
プロットを変更するかだ。後者は難しいので、前者だろう)

全員(主要登場人物5、6人)が生き生きしてきたら、
ようやく執筆だ。

ここまでが、「構想」だ。



面白い話というのは、
登場人物に魅力があり、
話が面白いものを言う。

この二つの段階で、それを用意したことになる。

ちなみに、一端感情の流れが出来てしまうと、
それをリライトすることは難しくなる。
理屈と違い、感情(執着)はリライト出来ない、
と考えるほうが健康だ。
感情をリライトするなら、
全く別の感情からはじめて、第二段階をまた一からつくることを考えたほうが、
よいリライトが出来る。


まだ実際の原稿は一文字も書いていないが、
プロット、登場人物表、ストーリーライン、
重要なターニングポイント、などはメモにあるだろうし、
ブレイク・シュナイダーのボードなどもつくってあるかも知れない。

ここまで準備しないと、書きはじめてはいけない。

書くことは、アドリブの演劇をするようなものだ。
やりはじめたら止まらないものだ。

逆に、これから何も見ずに、
アドリブ演劇を出来るようになるまで、
構想は準備するべきなのだ。


時間の9割は構想だ。
執筆なんて、数日で終わるのが理想だ。
最近僕はこういうやり方に収斂してきた気がする。

人間は、論理的存在でもあり、感情的な存在でもある。
人間たちも、論理的存在であり感情的な存在だ。
それが、ある事件から解決までを描くのが、映画だ。
posted by おおおかとしひこ at 13:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック