2014年09月27日

不安

人は不安な生き物だ。
毎日24時間永遠に、
安心してリア充で幸福でレストインピースな人はいない。
疑心暗鬼で、社会に不安や不満を持ち、自分にも自信がなく不安を抱える。
あなたも僕も、世の中の人も全員だ。
なにかしらの小さな、大きな、色んな種類の不安を抱えている。

それは、物語のタネになる。


極端な不安、死に関わる話が、
難病ものや、パニックものや、ホラーだ。
死や恐怖を主題とする。

社会的な不安や人間関係の不安を主題にすると、
人間ドラマだ。
自分自身の不安、他人への不安は、
コンフリクトの原因のひとつだ。


不安は時代によって変わるものも、不変なものもある。

御嶽山噴火の不安は、長らく忘れられていてリアルな不安ではなかったが、
普遍的な天変地異への不安を我々に呼び戻した。

通り魔事件、その動機が目立ちたいから誰を殺しても良かった、
などを知れば、他人を信頼しきれない不安が少し残る。
(しばらく起こらなければ、その不安は忘れられて、なかったことにはなる)

消費税や高齢化社会や移民を受け入れるかは、
日本というかつて素晴らしかった国がなくなっていくことの不安だ。

ある程度年齢のいった独身者なら、
このままで自分はいいのだろうかという不安から離れることはできない。
会社もプライベートとも、実家との関係も。
若者なら自分は一体何なのかという不安があるだろう。
自信がなかったり、リア充のパーティーに堂々としてられない不安は、
誰にでもある。
自分はたいしたことないという不安だ。

あるいはごく親しい人が、本当に信用できない不安もあるだろう。
勝手に○○をされた、とかの事件があればなおさらだ。
自分の事を全然分かってないと疑心暗鬼になる不安だ。

あるいは太陽はいつか燃え尽きたり、宇宙の外には何があるのかという不安。

これらのような不安を、100個ぐらい書き出してみよう。
色々なジャンル、広さ、深さがあるはずだ。


それを、ストーリーのきっかけや所々に置いてみよう。


あるいは、それのどれかを、あなたの登場人物の誰かに背負わせるのだ。
主人公は当然だが、出来ればほとんどのメインキャラが、
位相の異なる不安を所有しているといい。

ただの動機と行動の塊の、ロボット的な登場人物が、
急にリアルな人間になる。

人間は、
不安を押し隠したり、不安に慣れたり、人の不安を感じて慰めたり、
人の不安を利用したり、不安に対して無理したり、
不安に線引きをしたり、人の不安を否定したり共感したりする。

人間関係は、そのような不安定な局面の上にも成り立つ。


誰もが不安で、自信がない。
そしてそれは、日々の出来事で変化していく。
自信が不安になったり、不安は自信になったりする。
それを、ストーリーの中で描こう。
「常に同じ状態」の人は、物語の中にはいない。


そして、ラストには、全ての登場人物の不安は、
カタルシスによって解消されるのだ。

人は何故映画を観るのか。
不安に同調して、解消するためだ。
(その不安がメジャーなら、メジャーな話なのだ。
そして、自分の不安を主人公に負わせないこと。
その不安の解消法を知らない限り、
劇中の主人公は永遠に不安を解消する術を知らない)
posted by おおおかとしひこ at 19:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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