あなたは、自己紹介が得意だろうか。
はじめましての人の前で、
あなたはどれくらいでその人からの信用を勝ち取るか。
その人からの信用とは、
このまま付き合っても悪くないだろう、と思ってくれる程度だ。
映画では、これは大抵10分から15分以内である。
映画ではどうやって信用を勝ち取るのだろう。
このまま見ていても悪くないだろう、と判断されるのは、
何故なのだろう。
それは、「この話はどうやら面白そうだ」と思われることだ。
或いは、「このままあと一時間数十分見ると、○○のような満足が得られるだろう」
という予感を持たれることだ。
どんなに冒頭15分が面白くとも、
そのあとにダメになることはある。
そんな第一印象詐欺も、あることもある。
(転校生のデビュー日とかね)
これ以上この作品を見るべきかどうかの判断は、
恐らく、全体の1/4を見ないうちに下され、
最後までちゃんと見るべきかどうかは、
1/3を見ないうちに下されるだろう。
それまでに、あなたははじめましての観客に、
信用される必要がある。
この話は面白いですよ、と。
だからと言って、冒頭15分だけ面白いのは単なる詐欺だから、
余計信用を失う。
本当に練り込んだ、面白い話なら、
冒頭15分で、この作者は分かっている、という感じがにじみ出るものだ。
初めての人に自己紹介することを想像しよう。
俺がこれから話す話は面白いよ、
最後まで聞くと満足するよ、
というのは、全体のどれくらいまでに信用されるべきだろう。
開始いきなりは無理だが、開始10分ぐらいまでには、
信頼に足る何かを見せなければならない。
僕は冒頭から凄いアクションをやるのはあまり信用しない。
そのあとからがストーリーのパートだと知っているからだ。
(それを知らない人は冒頭のアクションで度肝を抜かれて、
信用してしまうかも知れないが)
そしてその冒頭の信用に足る感じこそが、その話のジャンルを規定するのだ。
コメディなら爆笑を、シリアスならその気分に至る何かを、
示すことなのだ。
(そしてそれが大抵最後への伏線になっているものだ)
観客の心を動かす何かを最初のほうでやろう。
最初から号泣や爆笑をしなくてもよい。
これは面白そうだぞ、と信用されるだけでよい。
それは、人間付き合いと同じことだ。
そもそも本題や結論は、もっとあとのほうに来ることぐらい、
みんな分かっているのだから。
2014年09月29日
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