2014年10月15日

クライマックスの決め台詞は、セットアップにある

クライマックスの決め台詞は、とても悩む。
なるべく短い、スパッと決まるやつがいい。

話の目的やテイストに応じ、
スカッとするものや、号泣するものや、暖かくなるものや、
爆笑できるものや、なるほど!と膝を打つもので、
なおかつ物語を全て包括するカタルシスがあるのがベストだ。


僕はこれでも台詞が得意なほうだと思うが、
それでも台詞にはさんざん悩むし、
特に決め台詞は何度も書き直すことがある。
ここの場所が決め台詞だと思っていたら、
案外違う場所がヤマだったりして、
何度もぶれることもある。

クライマックスの決め台詞は、
それまでの「全て」を包括したいものだ。
それを一発で短く決めることが難しいのだ。

実は、ヒントは第一幕にある。

それまでの全ては、そもそも何からはじまった一連か、
ということを考えるとよい。
人間は、あるまとまりのある時間を考えるとき、
3番目に起こったことから考え始めない。
必ず最初から考える。
つまり、それを思い出すときに最初に思うことが、
はじまりの一点なのだ。
勿論、途中途中の印象的なことをパッと思い出すこともあるが、
落ち着いてじっくり考えようとすると、
やはり最初の場面から出てくるものである。

つまり、「これまでの全てのこと」は、
第一幕からはじまっている、その「はじまり」で象徴出来るのだ。

だから、クライマックスの決め台詞は、
第一幕のその部分に触れた台詞にすると、
決まりやすい。

(詰まらない4コマを面白くする方法と同じだ。
最初と関係することを落ちに持ってくるという法則だ)



今書いている話で、
それなりに良い、クライマックスの決め台詞が書けていた。
しかし、その場面では決まったような気がするものの、
最初から読んだ流れでは、ちょっと迎えにいきすぎだなあ、と感じていた。

そこで、シンプルに「うん」と、たった一言で語り、
あとは想像させるテクニックを使ってみた。
悪くないが、やはり最初から読んだときに物足りなかった。

三度目の正直で、直接クライマックスには関連していないが、
問題が明らかになった第一幕の台詞を応用することを思い付いた。

すると、第一幕とクライマックスが上手く連動し、
これまでの全てを包括する、決め台詞になったのだ。


これを他人から見たら、
第一幕からラストに伏線を巧みに張っていたように見えるだろう。
実際は、第一幕を、利用しただけだ。
あとで関連付けることで、よりまとまりを強めただけだ。

つまり、第一幕の台詞を利用してクライマックスの決め台詞にすると、
話のまとまりがとてもよくなるのである。
これは経験則だ。困ったときに思い出すと良い。
posted by おおおかとしひこ at 03:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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