2014年11月04日

台詞対決

台詞劇の下手な人に。
台詞だけでタイマンを張らせてみよう。


喧嘩をさせてもいい。
何かを一緒にさせてもいい。
どちらかがどちらかにうんと言わせる過程でもいい。
(恋愛でも恋愛でなくとも、口説く、というシーンだ)

その場で、台詞だけで決着をつける、
というシーンを書いてみよう。

双方の目的、動機、態度
双方の事情、過去
双方が背負っている団体(ない場合も)
双方が互いをどれだけ知ってるか
(言わなくても分かること、言わなきゃ分からないこと)
双方のキャラ

双方の言い分
言いたいことや隠してること
洗いざらい言うか、隠すか
決着の落としどころ、当初の目的と妥協点

などが揃わないと書けないことが分かる。
どれかひとつでも欠けると、
詰まらない台詞対決になるだろう。


コンフリクトが物語のエンジンだとしたら、
これらの要素を決めるのは執筆時だ。
もちろん、一部はプロット段階で考えるのだが、
これだけの具体をプロットでは考えない。
(恋愛ものなどでは細かくやるかも知れない)

何故どうして、相手をどうしたくて、
それぞれが台詞を言うか、
その意図が絡み合い、
どう決着がつくか、
というのは、コンフリクト的な場面の基本だ。

普通行動を伴うのだが、
台詞だけでやると、台詞の実力がつくかも知れない。


夫婦や恋人の喧嘩、
両腕を縛られた刑事が見張りにちょっと縄を緩めてという場面、
心理カウンセラーが落ち込んだ人を回復させる場面、
保険の人が契約を取って判子をもらうまで、
立てこもり犯を拡声器で説得する、(または交渉人)
好きな人を口説く、あるいはデートの約束にこぎ着ける、
ある種の議論(打ち合わせ、裁判、討論会)、
許せない親族の借金を取り立てにいく、
会ってくれない人に会ってもらうようにする、
一対一の博打でブラフ(ハッタリ)を通して相手を降りさせる
(カイジとかでよくみるよね)

などが台詞対決の典型的な場面だ。

コンフリクトとはある種の交渉であり、
交渉文化や駆け引き文化を持たない我々日本人が、
このような緊張を伴う場面をどう乗りきるかについて、
ある程度書けるようになるべきだ。


台詞だけで聞かせる、台詞だけで見せる必要のある場面ばかりである。
個人的感情と外的目的が一致してもいいし、
ずれていてもいい。
そして、
「目的を果たさなければいけないのだが、
内面的にはずれている(個人的にわだかまりがあるなど)」
ときに、最もドラマチックになることに気づくだろう。


その場面は1分か、2分か。
3分ぐらいになると異常な緊張になる。
緊張に耐えられない人間がどういう態度を取るかも必要になってくる。


台詞対決は、脚本技術の華だと思う。
華ならば、書いたことない人は書いてみるべきだ。
実は、そんなワンオンワンが一番難しいことに気づくだろう。
複数の人がいれば助け船がある。
助け船なしで台詞だけでやるのだ。
(周囲のものや小道具を使ってもいい。役者はそういうものに頼りたがる)


うまく書けないのなら、身近な例を真似してみるか、
逆に全然遠い文脈でやるとやりやすいかも知れない。
posted by おおおかとしひこ at 11:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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