物語は大きくふたつに大別できる。
外へ向かうものか、内へ向かうものかだ。
外へ向かうものとは、
展開が、
次々に新しい人物が出てきたり、
新しい場所へ行ったりなどの、
世界が拡大していくものを言う。
内へ向かうものとは、逆に、
展開が、
閉じた人間関係の、深い部分が明らかになったり、
心の奥底の新しい部分が目覚めたり、
人間関係が徐々に変わっていったりするものを言う。
勿論、この組み合わせなのだが、
一般に、前者は少年漫画的で、後者は少女漫画的だ。
世界を拡大していく面白さと、
とじた世界の深みを探ってゆく面白さである。
前者は予算がかかり、後者は予算がかからない。
前者は男が好み、男が書き、後者は女が好み、女が書く傾向にある。
どちらを選ぶかは、好みだ。
自分がどちらが得意かを知っておくことは重要だ。
そして、逆のパターンを書いてみることも試すとよい。
そうすると、組み合わせが出来るようになる。
バランスを取れるようになる。
外に向かう物語の中で、心理描写や人間関係の描写に長けたり、
内に向かう物語の中で、世界がめまぐるしく変わっていったり、
出来るようになる。
どちらが正しいとか優れているわけではない。
世界をどう捉え、どう表現するかという考え方の流派のようなものだ。
偏らず、双方使いこなせることが最強だろう。
「マトリックス」は不思議な物語で、
外に拡大しつつある話かと思いきや、人間の内部へ入る内に向かう話ともなる。
ウォシャウスキーがゲイ(性転換ずみ)であることも、
多少関係しているかもしれない。
今見ている話はどっちか、今書いている話はどっちかを、
ざっくり考えることは、あなたの頭の中を整理するのに役立つ。
「てんぐ探偵」には、エピソード別にそういう傾向の差がある。
第2話「妬みは天下の回りもの」、第3話「お前は誰か」、
第9話「あのとき、出来なかったこと」などは外に向かう物語で、
第4話「先生の闇」、第7話「爆音ギタリスト」は内に向かう物語だ。
どっちも書けることが、結果的にあなたの作品を豊かにするだろう。
2014年11月10日
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