2014年11月10日

外へ向かう物語、内へ向かう物語

物語は大きくふたつに大別できる。
外へ向かうものか、内へ向かうものかだ。


外へ向かうものとは、
展開が、
次々に新しい人物が出てきたり、
新しい場所へ行ったりなどの、
世界が拡大していくものを言う。

内へ向かうものとは、逆に、
展開が、
閉じた人間関係の、深い部分が明らかになったり、
心の奥底の新しい部分が目覚めたり、
人間関係が徐々に変わっていったりするものを言う。


勿論、この組み合わせなのだが、
一般に、前者は少年漫画的で、後者は少女漫画的だ。
世界を拡大していく面白さと、
とじた世界の深みを探ってゆく面白さである。

前者は予算がかかり、後者は予算がかからない。
前者は男が好み、男が書き、後者は女が好み、女が書く傾向にある。


どちらを選ぶかは、好みだ。
自分がどちらが得意かを知っておくことは重要だ。
そして、逆のパターンを書いてみることも試すとよい。

そうすると、組み合わせが出来るようになる。
バランスを取れるようになる。

外に向かう物語の中で、心理描写や人間関係の描写に長けたり、
内に向かう物語の中で、世界がめまぐるしく変わっていったり、
出来るようになる。

どちらが正しいとか優れているわけではない。
世界をどう捉え、どう表現するかという考え方の流派のようなものだ。

偏らず、双方使いこなせることが最強だろう。

「マトリックス」は不思議な物語で、
外に拡大しつつある話かと思いきや、人間の内部へ入る内に向かう話ともなる。
ウォシャウスキーがゲイ(性転換ずみ)であることも、
多少関係しているかもしれない。

今見ている話はどっちか、今書いている話はどっちかを、
ざっくり考えることは、あなたの頭の中を整理するのに役立つ。



「てんぐ探偵」には、エピソード別にそういう傾向の差がある。
第2話「妬みは天下の回りもの」、第3話「お前は誰か」、
第9話「あのとき、出来なかったこと」などは外に向かう物語で、
第4話「先生の闇」、第7話「爆音ギタリスト」は内に向かう物語だ。

どっちも書けることが、結果的にあなたの作品を豊かにするだろう。
posted by おおおかとしひこ at 19:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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