「きっと、うまくいく」の世界に浸ったまま、
まだその世界から帰れていないのだが、
それにしてもポスタービジュアルが酷いと思う。
あの世界をまるで表現できていない。
だから僕は今に至るまで見なかった。
(情報は口コミだった)
簡単に無視する、詰まらなそうなビジュアルだったからだ。
ではどうすればよかったのだろう。
現状のポスタービジュアルは、
尻の形をしたベンチに三人が座り、
笑顔で振り返るビジュアルだ。
これは冒頭30分にある、
テーマ曲が流れるミュージカルシーン内のワンカットだ。
大学寮の中庭にあるちょっと面白いベンチで、
辛いことがあったとしても、
「きっと、うまくいく」という呪文を唱えれば大丈夫さ、
という映画のテーマを語るミュージカルシーンだ。
卒業製作が間に合わず絶望する先輩に対して、
天才が代わりにヘリをつくってあげる文脈で歌われる。
(びっくりさせようと窓からそのヘリを先輩の部屋に…
のその後の展開が上手い)
そのなかでの、ベンチはワンショットである。
ミュージカルの一パーツに過ぎない。
果たしてこれは、映画のテーマを正しく伝えたワンビジュアルだろうか。
否である。
主人公三人の顔を出したい、
だから勢揃いしている場面がいい、
そのなかでもコメディっぽいシーンがよく、
なおかつテーマっぽい場面がいい、
という選択基準は、おおむね間違っていない。
が、あのビジュアルが映画の中のすべての要素を凝縮した、
イコンとなるべきワンビジュアルではない。
その条件ならば、
赤いスクーターに乗って試験会場へ急ぐ三人、
という傑作ビジュアルがあったではないか。
(死にそうな父を病院まで三人のりでスクーターに乗せて走り、
徹夜明けのテンションで試験会場へ向かうシーン)
何故か三人の真顔が面白くて、
なにも面白そうなことはしてないのに、僕は腹を抱えて笑った。
少なくとも、こちらのビジュアルのほうが、
ルールを破ってでも何かをするとんでもない三人組であること、
何か目的があること、
それぞれの凸凹ぶり、
インド映画の生命力が伝わってくると思う。
ベストビジュアルをつくれるのなら、
どんなものがいいだろう。
後半戦、赤ちゃんが生まれたあとの朝、
学長がペンをあげるのはとてもいい場面だった。
その空気感を再現するのがよいと思う。
映画のテーマ、「きっと、うまくいく」が実現したシーンでもあるからだ。
洪水で埋まった大学の寮の前で、
あのあとみんなで記念写真を撮った、という設定で、
めいめいが面白いポーズをとっているのがいいと思う。
きっといい表情の三人が撮れる筈だ。
三人組だけでなく、
サイレンサー、ミリ坊主、学長、赤いスクーターに乗った学長の娘、
その姉(赤ちゃんを抱えた)、などが揃っていてもいい。
とにかく三人組が一番目立とうと、カメラ前にしゃしゃり出ているといいだろう。
なのに何故か洪水で埋まっているヘンテコさがヒキになると思う。
勿論メガネはカメラを持って、
天才は最初に小便を痺れさせた道具か掃除機を持って、
貧乏は車椅子で、
などがキャラが立つだろう。
これで(ネタバレすることなく)映画の本質的な部分を表せると思う。
しかるに、実際のワンビジュアルは酷い。
これじゃ興味が持てない。
宣伝部はバカばかりだ。
2014年11月16日
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