2014年11月16日

映画とは、中編である

映画脚本は2時間で原稿用紙120枚、48000字である。
小説でいえば単行本の1/3から1/2程度だ。
(90分なら1/4だろう)
かといって短編でもない。



短編に比べ、深く描く必要がある。
内的成長や外的問題を、どちらも深く面白くだ。

しかし長編ほどじっくり描けない。
長編よりテンポよく、キレよくしなければならない。
省略の妙などを使うことも時には必要だ。

長編ほど登場人物を増やせず、主人公一人に焦点を当て続ける必要がある。
短編ほど登場人物を限定できず、主人公だけでなく、
他の人物にもきっちりと焦点を当てる必要がある。
長編ほど世界の構造や仕組みを描けず、
長編ほど物語の広さや時系列を大きく取れず、
短編ほどキレがいいわけでもなく、
短編ほど実験的にすることもできない。


短距離走と長距離走では、
それぞれ要求される身体能力に著しい差がある。
中距離走では、その両方が必要なのだそうだ。
どちらにも偏らない、短距離と長距離の力が両方とも。

映画脚本は中編程度の分量だ。

読み切り漫画よりは多く、
連載漫画よりは少ない。

ドラマ一回分より長く、
ドラマ全体より短い。

実に中途半端なフォーマットだ、という自覚をもつとよい。

逆に、
短編よりも深くじっくり描けて、
より深い感動や充実感がある。
長編よりも手軽に量産できて、いい感じのまとまりがあり、
キレよく実験的なことが出来る。

そう考えることも出来る。
posted by おおおかとしひこ at 17:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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