メインになるバトルのストーリーラインを考える。
クライマックス=最終決戦でのバトルの相手がラスボスだ。
このラスボスは、最初から出ているライバル的な敵でもいいし、
後半から現れた、それまでの敵以上の実力者や権力者でもいい。
ここでいうバトルとは、物理的殴り合いから口喧嘩からディベートから、
何かしらの争い(早い者勝ちやコンテストや獲物を得ること)など、
どんな形になっても構わない。
そして出来るだけ危険があるとハラハラしてよい。
(映画とは絶対安全な椅子から見る娯楽なのだから、
映画の中では絶体絶命が楽しいのだ)
そしてクライマックスでは
一番派手な、
一番緊張感のある、
一番リターンが大きい、
これが決まれば全てが決まる、
大一番のバトルが描かれる。
このクライマックスに直結するストーリーラインを、
メインストーリーラインと呼ぶ。
メインストーリーラインは、
冒頭からはじまり、概ね一番焦点の当たる問題のことである。
(映画では、他にサブストーリーライン、
すなわちメインバトル以外のバトルのことについての話も付随する。
たいてい脇役が絡むか、脇役同士のバトルなどになる。
恋愛もので主人公カップル以外のカップルの話などもこれにあたる。
二時間の映画では、平均2、3のサブストーリーラインがあると言われる)
メインストーリーラインは、必ず冒頭からはじまる。
冒頭にサブストーリーラインのはじまりを置いてはいけない。
それがメインと誤解されるからだ。
サブの部分的フラッシュなどで気を引いておいて、
いよいよメインをはじめる、というモダンなやり方もある。
(ナカテツのほぼ遺作「渇き。」もそのようなオープニングだった)
いずれにせよ、メインストーリーラインがオープニングの「芯」であることに変わりはない。
冒頭からはじまった事件が、
いかにクライマックスのバトルで決着がつくか、
という顛末が、要するに映画的物語なのだ。
そのラスボスとのバトルに至るまでの紆余曲折が、
はじまりと終わり以外の「途中」なのである。
何度か小競り合いのバトルがあるかも知れない。
水面下の駆け引きがあるかも知れない。
どこかであとに引けない一点がやってくるだろう。
メインストーリーラインとサブストーリーラインが関係し、
双方の利害が絡み合うかも知れない。
形勢逆転や、二転三転があるかも知れない。
先に布石を打つ展開になるかも知れない。
それを読み先回りする展開になるかも知れない。
それを読まれ先回りされた展開になるかも知れない。
緊張の高まる山場が何度かあるだろう。
そこで全てが解決しそう(でしない)なこともあるし、
ある問題とある問題については解決するだろうという部分的山場もあり得る。
そして展開は、
だんだん複雑に、
だんだん激しく、
だんだんテンポが上がり、
だんだん感情の振り幅が大きくなっていくのである。
(実写風魔の小次郎の駆け上がり方は神ドラマ的だ)
何度か苦い思いをしたり、
何度か涙を流したりするだろう。
何度か喜びや安堵もあるだろう。
しかし真の平穏はまだ訪れない。
ラスボスが待っているからだ。
このように、途中、すなわちACT 2を書けばよいのである。
メインストーリーラインに関わるサブキャラの話を、
サブストーリーラインにして話を複雑化してゆき、
最後にクライマックスのラストバトルで、
全ての決着がつくようにもって行けばよいのだ。
気をつけるべきことは、サブをメインにしてはいけないことだ。
もし書いている途中そうなりそうだったら、
そのサブをメインにするか、元のメインをメインにするか、
自分で決めるべきである。
メインは常にひとつでメインでなければメインとは言えない。
(ついつい細かいサブに逃げたくなるものだ)
文中、バトルをコンフリクトに書き換えれば、従来の脚本理論と変わらない。
しかし日本人にとって馴染みのないコンフリクトより、
バトルと意訳したほうが、
随分とテンションが高く、リスクがある、
ドキドキした感じに表現できると思うのだ。
勿論バトルとは、ジャンプ的な殴り合い(や能力バトル)ではなく、
人間ドラマ上でのたたかいのことだ。
(橋田壽賀子ドラマでは女同士のバトルが見られる、
という意味でのバトルである)
勿論、映画ではアクションシーンという物理的バトル描写にすることもあるし、
それは大人気だ。
しかしアクション以外の、人と人のドラマ全てがバトルである、
と考えることによって、
お話全体をとらえやすくなるのではないだろうか。
誰と誰が対立するのか?
それはどういう理由か?
(最初小さな理由からで、それがどんどん大きくなるパターンだとしたら、
どういう広がり方か?)
それはどう表面化し、周囲はどうするのか?
最終決着はどのような形か?
その間に、最終決着にもつれこむまで、何が起こるのか?
あるいは誰が間を取り持ったり、味方についたり、
裏切ったりするのか?
途中、偶然は起きるのか?
誰かの意図で誰かのタイミングが計られるのか?
サブキャラはどんな事情や目的や希望があるのか?
それはメインストーリーラインにどう関係してくるのか?
結果的に協力か?妨害か?
なくてはならないのか?排除すべきか?
などなどを想像していけば、
自ずと、ストーリーが出来上がっていくだろう。
あとは、プロットとして書き下ろしてみるとよい。
矛盾せず、無理のない話になるまで練り込んでいけばよい。
そのうち、
三幕構成にしたり、
更に劇的にしたり、
ストーリーラインを変えたりすることをしはじめるだろう。
全体の構造や順番も考え始めるだろう。
テーマとモチーフの関係についても思いを馳せるはずだ。
そうこうしているうちに、
プロットが練り上がっていくだろう。
多分プロットは、そうやってつくるといい。
2014年11月19日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック