2014年11月20日

命を賭けないものは、見るに値しない

と極論してみよう。
何故映画は面白いのか?という問いへの、ひとつの答えだ。


主人公が命を賭けるから、面白いのだ。

感情移入してない人でも、死は面白い。
(面白いというと語弊があるかも知れないが、
幼稚園児でも面白がることばである)

その人が死と引き換えに何か言いたいことがある、
と言えば、とりあえず聞いてみようかと思う。

衝撃映像などで大事故や死の瞬間や生還の瞬間があれば、
とりあえず見てしまう。

死は面白いのだ。語弊があるなら、無視できない何かの力があるのだ。
それはそうだ。我々は命を持つからだ。
命のない者にとっては、死は面白くないかも知れない。


主人公に感情移入すればするほど、
その死の恐怖は、身に迫る思いである。
単純な物理的恐怖もあるし(アトラクション的に)、
主人公がなそうとしていることに、
夢中になればなるほど、
それをなせず虚しく死んでしまうことは、
許せない思いを抱くはずだ。

死の危険を描こう。
そこで今虚しく死なれたら困る、
と観客が思い、ハラハラするのなら、
感情移入が上手くいっている証拠だ。

全てにおいて、主人公がやろうとすることには、
死の危険が伴うようにするといい。


物理的な死の危険は、アドベンチャーとかアクションの類いである。
そうでない、抽象的な死もある。
世間体だ。
こんなことやったら後で色んな事言われる、
という焦りは、抽象的な死の危険である。

愛の告白は、断られたらどうしようと思うことこそが、
死の危険である。
断られてもノーダメージなら、告白は怖くもなく、
ハラハラもしないだろう。
その人が好きであればあるほど、
断られたときのダメージが大きいから、
告白は難しいのである。
(本気で好きになる前に、やりちんは告白するらしいぞ!
逆にやりちんは、人を本気で好きになったことがない、らしい)

こんなこと言ったりしたりしたら、
嫌われる、なに言われるか分からない、
その後会えない、村八分にされる、
一生人前に出る勇気がなくなる、
周囲の評価がた落ち、
ドン引きされる、
友達なくす、
親も縁を切られる、
そのような、抽象的な死の危険を、
描こう。

だからハラハラするのだ。
ノーリスクノーダメージなんて、
なんにも面白くない。
アンドゥ可能な人生に、意味なんてない。
取り返しがつかないから、
人生はヒリヒリして、面白いのだ。
(リアル人生もそうだか、
我々が書くのは架空の人生である)

死の危険があることを、
なるべくリアルに書こう。
怖くなって目をつぶり、映画館のシートを思わず強く握るぐらいのものを。
(僕は高所恐怖症のため、ミッションインポッシブル4の、
ビルの壁登りはまじできつかった。ずっと肘掛けを握りしめていた。
つまりそれだけ絵の力は強いのだ。あのツルツルすべるガラス壁の音も怖かったよね)
高いところの恐怖を描くときに、物を落とすのはよくある。
怖い人の恐怖を描くときに、雑魚がぼこぼこにされるのはよくある。
何かの恐怖を描くときに、先に犠牲者をむごたらしく描くことは、よくある。

それを乗り越えるから、面白いのだ。


ただ無双を見たいとか、
ただ勝利を見たいとか、
ただラブシーンを見たいとか、
何も知らない人はただ言う。
その素人の言葉を真に受けてはいけない。
ただの無双や、勝利や、ラブシーンは、ただの退屈だ。

殺される危険の上での無双、
負けたら社会的立場がなくなる崖っぷちでの勝利、
振られたら生きていけないぐらい好きな人とのラブシーンこそが、
面白い映画の条件だ。

逆に言えば、死の危険がきっちり描けていれば、
勝利はそんなにガッツリ描かなくてもよいのだ。
(何度も例に出す、「北北西に進路をとれ」のラストシーンなど)


命を賭けるから、映画は面白い。
僕はプロット中なるべく「冒険」と書くことにしているのはそのためだ。

大抵、序盤で発生した問題は、死の危険を伴う。
最初から危険な場合もあるし、
さほど大きな問題だと認識していなくても、
放置していて死の危険に匹敵することが分かってくる。
しかし、その解決にはより死の危険が伴うのだ。
主人公は迷う。
このまま何もせずに死の危険にさらされるか。
それとも、解決に乗りだし、リターンはあるが更なる死の危険にさらされるか。
後者を選ぶのが、
第一ターニングポイントだ。

そして一端その道を選んだら、
続々と死の危険がやってくる。
それが映画だ。


主人公は何のために命を賭けるのか。
何を守るのか。
何を賭けるのか。
それこそが、テーマに関係してくる。
posted by おおおかとしひこ at 20:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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